深浦風力発電 3日商業運転開始/電力5万2千世帯分 青森県内「つがる」に次ぐ規模

3日に商業運転を開始する「グリーンパワー深浦風力発電所」(グリーンパワーインベストメント提供)

 青森県深浦町北金ケ沢から追良瀬にかけての民有地の山林などに大型風車19基を建設した「グリーンパワー深浦風力発電所」は3日、商業運転を開始する。総出力7万9800キロワットで一般家庭約5万2千世帯分の電力供給に相当。年間約9万1千トンの二酸化炭素(CO2)削減効果が見込まれる。事業主体のグリーンパワーインベストメント(GPI、本社東京)によると、県内では同社が運営する「ウィンドファームつがる」(つがる市)の12万1600キロワットに次ぐ規模となる。

 発電した電力は北津軽変電所(鶴田町)を経て、東北電力ネットワークに全量売電する。構想から足かけ10年の建設事業は、2021年10月に電気工事に着手。22年2月には土木工事が始まった。同8月に発生した豪雨災害の影響も受けたが、23年春には津軽港(鯵ケ沢町)に陸揚げされた風車部材の現地輸送が始まり、同10月に試運転を開始。無事開業にこぎ着けた。

 羽根の頂点まで高さ約170メートルの大型風車は、環境にも配慮し、作業用地の確保が最小限で済むよう、タワー周囲に設置した架台をリフトアップする「ウィンドリフト工法」も活用して組み立てられた。

 GPIの岡田健太郎建設プロジェクトマネージャーは「22年には大きな災害もあって工事がストップしたが、町や地元の方々の協力、工事関係者の頑張りでこの日を迎えることができ、感慨深い」と話す。

 一方、GPIは、深浦町の国有林を対象事業実施区域とする「(仮称)深浦第二風力発電事業」(最大出力約19万キロワット)の計画も進める。27~28年の着工、30年からの商業運転を目指している。現在、環境影響評価の手続き中で、県の審査部会は近年の豪雨災害も踏まえ、土地改変量抑制を求める意見書をまとめている。

 GPIの瀬野太郎深浦第二プロジェクトマネージャーは「まだ事業計画は初期段階で、対象事業実施区域はかなり広域に設定している。風況や土砂災害リスク等を考慮しながら、どういう風車の配置が適正なのか見極めた上で事業地を絞り込んでいきたい」としている。

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