猪野広樹・杉江大志・畠中洋が弦楽生演奏と紡ぐ 韓国スリラーミュージカル「狂炎ソナタ」日本版初演

ミュージカル「狂炎ソナタ」が、品川プリンスホテル ステラボールにて、2024年2024年2月2日(金)~2月11日(日)の期間、上演されています。

韓国スリラーミュージカルが日本版初演

韓国にて2016年の公演芸術創作産室優秀作選定とトライアウト公演の完売を経て、2017年初演から再演・完売を続けているミュージカル「狂炎ソナタ」。

小説家キム・ドンインの同名小説がモチーフで、死を通じて音楽的インスピレーションを得た天才作曲家がまた別のインスピレーションを得るために殺人を重ねてしまったことをベースに、3人の音楽家たちの葛藤をクラシック旋律で捉えたスリラーミュージカルです。

過去に日本でも韓国人キャストによりが上演が行われましたが、今回日本版初演として上演が実現しました。

人気俳優陣の歌唱と演技、三重奏の弦楽器の旋律が織りなす物語

舞台上には、古びた室内セットに小ぶりなグランドピアノとテーブル、その後方上段に電子ピアノが据え付けられ、全体的に暗めの照明。「グロリア・アルティス」賞を受賞し、19歳で天才という賞賛を受けて華やかな作曲家デビューをするも、デビュー作以来、一曲も書き出すことが出来ず、不安に苦しむ日々をおくる作曲家のJを主人公として1999年に起きた物語が展開されます。

Jはクラシック界の著名教授であるKを訪ね、再び作曲を始めるも低評価と圧し掛かる重圧により、泥酔した状態で車を運転、そして男を撥ねる交通事故を起こしてしまいます。

事故と共に目の前で鮮やかな「死」を目撃したJ。その夜、彼は狂気に包まれながら第一楽章を完成させます。Jが一晩で作りあげた素晴らしい音楽の誕生理由が「死」である事を知ったKは曲を完成させるために更なる殺人をJに唆し、Jは作曲のために度重なる殺人へと手を染めていくのです。

「死」を重ねる中で湧き上がるインスピレーション、そして更なる刺激を求める狂気によって楽曲を書き上げていくJは、やがて一日の内に自分の性格を保てるのは数分間、残りは自身が内包する「悪魔」の部分が支配するという狂人の成れの果てのように。そして魔の手は、自身の唯一無二の掛け替えのない親友のSにまで伸びていきます。

猪野広樹がミュージカル初主演

起こした事故をきっかけにインスピレーションを得て、「死」に触れる度に素晴らしい曲を作り上げるも、更なる刺激を求め殺人を重ねる自身に葛藤するJ役を務めるのは、猪野広樹。

「ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー‼』」菅原孝支役や、「MBS/TBSドラマイズム 『REAL⇔FAKE Final Stage』」卯野紘希役が話題の猪野広樹。多数の舞台主演歴を持つ猪野さんですが、意外なことに今作がミュージカル作品初主演。

カーテンコールでは「個人的には今年初舞台で挑戦の一歩を踏み出しました。今年を良いモノに出来る様に、そしてお客様を楽しませられる様に一所懸命務めさせていただきます」との座長としての心持ちを述べました。

そのJの長年に渡る親友であり、物語のストーリーテラー役も務め、また、ある時はJの心の代弁者の立ち位置にもなる、冷静ながらもJを温かく見守り誠実に寄り添うS役は、杉江大志。

「ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン」一氏ユウジ役をはじめ数々の2.5次元ミュージカル舞台作品でその表現力の高さが評価される杉江さんも、本格ミュージカル作品への出演は今作が初。「ヤバい作品ができたぜ!と思っており、明日から長いような短いような11公演を毎公演新鮮に、舞台上で起きる3人のセッションを楽しみながら走り抜けられたらなと思います」という、毎公演への思いをコメント。

そして腹底の知れない野心家であり、Jに傑作を書かせる為に更なる殺人を唆す悪魔的な存在ながらも、非常に人間的な部分を覗かせるクラシック界の著名教授のK役は、畠中洋。自身初の韓国作品への出演に際し、「こういった作品に出会えることはあまりないので稽古が楽しみ。中々にヘビーな話ですがワクワクが止まりません」と、インタビューで話していた畠中さんは「明日から始まる初日から男3人の濃密な舞台をお届けしたいと思います」と、3人で公演を駆け抜ける決意を話しました。

そして、ピアノとチェロとヴァイオリンの三重奏がキャスト3人をサポート。生演奏ならではの演者との阿吽の呼吸を感じられる旋律が楽しめます。

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