ボーイング787の心臓部「中央翼」は自動車メーカーのスバルが製造! 巨大なパーツの製造工場に潜入

ボーイング社の主力機・ボーイング787

世界最大の航空機メーカー「ボーイング」。主力機の1つ「ボーイング787」。中でも重要パーツである「中央翼」は、「スバル 航空宇宙カンパニー 半田工場」が製造しています。巨大なパーツはどのようにして生まれるのか。工場に潜入します!

ボーイング787の中央翼を製造するスバル

自動車だけでなく航空宇宙事業も手がけるスバル

自動車メーカーである「スバル」ですが、実は航空宇宙事業も手がけています。1973年に米国ボーイング社の旅客機生産に参画して以来、50年以上にわたり主要パートナーの一社として開発・生産に関わってきました。

飛行機の心臓部「中央翼」

そんな「スバル 航空宇宙カンパニー 半田工場」で製造される「中央翼」。航空機の中央に位置していて、左右の主翼や胴体をつないでいます。“飛行機の心臓部”とも呼ばれる重要なパーツです。

中央翼に使われる巨大パーツ 工場への搬送も一苦労

交通量の少ない深夜にトラックでゆっくり運搬

工場へ潜入する前に、まずはパーツの運搬に注目します。午後11時の半田市内、トラックが大きな荷物を運んでやってきました。一見、“巨大な滑り台”のように見える荷物ですが、実は「中央翼」のパーツの一部。

別の工場で製造・保管されていた「中央翼」のパーツを、トラックで半田工場へと運びます。しかしあまりに大きいので、交通量の少ない深夜を選んで移動します。

板状のパーツをダイナミックに移動

滑り台のような巨大パーツが工場に到着。荷台のカバーを外すと、なんと1辺5メートルの板状のパーツが登場しました! この巨大パーツをそのままクレーンで吊り下げ、空中移動させていきます。

CFRPと呼ばれる炭素繊維で強化されたプラスチック素材を使っていて、高強度でありながら金属より格段に軽いのだそう。

部品は1万点以上…ほとんどを手作業で取り付け

1つ1つ手作業で丁寧に部品が取り付けられる

表はイエローの板状のパーツですが、裏返すと真っ白な面になっていて、無数の穴があいています。この穴に1つ1つ手作業で部品を取り付けるのです。その数は1万点以上! 取り付け作業の多くが、人の手によって行われています。

安全性にかかわる作業を手作業で行う

次の工程では、たくさんの作業員がスタンバイしていました。ボルトの頭にキャップをかぶせ、その回りに気密性の高い素材を塗っていきます。実は機体の荷重を支えるだけでなく、燃料タンクの役割も担っている「中央翼」。気密性の高い素材を使って全ての隙間を塞ぐことで、燃料が決して漏れないようにしているんです。

現場とオフィスの風通しの良さもポイント!

次々と組み立てられる「中央翼」

先ほどの板状のパーツや巨大なメガネのようなパーツが運ばれると、作業員が息を合わせて手際よく1つずつ確認・調整。「中央翼」を丁寧に組み立てていきます。

途中には巨大な分度器のような部品も登場! スケールが大きいので、まるで家の組み立てのようです。

工場内の“空中オフィス”でサポート体制も万全

「中央翼」の組み立て作業の工程は、階段を上がってみると何と空中オフィスを発見しました。現場で何か起きたときに、一早くコミュニケーションがとれ、一早い対応ができるため、ここにオフィスが設けられているそうです。

上からだと工程全体を見渡せますし、現場にとってもサポートするオフィスにとっても安心感がありますね。社内の風通しの良さも作業のはかどりに良い影響を与えているのかもしれません。

工場にはボーイングの社員さんの姿も…

ボーイングの社員さん(リさん)

組み上がった「中央翼」の近くで、打ち合わせをするボーイングの社員を発見しました。ボーイングのサプライヤー担当・リさんです。リさんは、ボーイングにとってスバルがいかに重要なパートナーなのかを力説。世界最大の航空機メーカーが認めた工場が半田市にあるなんて、愛知県民にとっても誇らしいですね。

塗装や点検も最後まで人の手で

最後に待っているのは、組み立てた「中央翼」の塗装&点検です。燃料漏れを防止するための塗料などを3時間かけて丹念に塗っていきます。表面ツルツルできれいな仕上がりに。

そして、部品が正しく取り付けられているか、ズレやキズがないか、細部にわたってチェックします。人の手による丁寧な点検作業を終えたら、ようやく「中央翼」の完成です。

スケールの大きい飛行機の重要パーツである「中央翼」ですが、実は工程には多くの人の手が介在しています。地道で丁寧なモノづくりが、快適な空の旅を支えているんですね!

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