「科捜研の女」監修した京都府警の元捜査一課長が警察小説 警察学校の人間模様描く

中園修二さん

 警察学校を舞台にした小説「刑事教官の執念―警察学校物語」を、京都府警の元捜査一課長の男性が出版した。教官の経験を元に学校内の人間模様をリアルに描写する。2018年の小説に続く2冊目で「一般にはあまり知られておらず、興味を持ってもらえるのではないか」と話している。

 熊本県出身で、現在は県内在住の中園修二さん(76)。1970年の採用後、刑事として本部や所轄署で勤務し、殺人や強盗などを扱う捜査一課長や田辺署長を歴任した。定年後は、東映の京都撮影所相談役兼製作アドバイザーとして「科捜研の女」「遺留捜査」など京都が舞台の刑事ドラマの監修をした。

 今回は、暴力団捜査を担当する刑事だったが、警察学校の教官に異動になった男性警察官が主人公。刑事や交通など各分野の授業や拳銃の実射訓練の様子、学校内で起こる出来事が描かれる。主人公の過去の事件捜査や娘が殺されたひき逃げ事件も織り交ぜながら、物語は展開。職務質問や家宅捜索、被疑者の取り調べのほか「ネス(初犯)」「本店(府警本部)」など警察内部で使われる隠語も現れ、現実感を出している。

 1冊目が好評で、再び執筆に挑戦。30代の時に教官を2年務めた経験を踏まえ、5年をかけて書き上げた。編集は大津市内でIT関係の会社を経営する次男が協力し、芸術大学卒の会社のスタッフが表紙をデザインした。

 中園さんは「教官や生徒、生徒同士の絆、犯罪被害者の思い、家庭を犠牲にして働く刑事の姿などを盛り込んだ。新しい警察小説として読んでほしい」と話している。

 四六判、353ページ。1400円。問い合わせは、発売元の浪速社090(5643)8940。

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