世界首位に立った中国の新エネ車生産、裾野産業の充実で発展加速―国営メディア

中国のEV大手BYDは2023年のNEV販売台数が世界首位に立ち、中国自動車メーカーとして年間販売台数の過去最多も更新。国営メディは「裾野産業の充実で発展加速」と誇示した。写真は中国の新エネ車。

中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)は2023年の新エネルギー車(NEV)販売台数が302万4400台と世界首位に立ち、中国自動車メーカーとして年間販売台数の過去最多も更新した。国営メディは「中国のNEV車生産、裾野産業の充実で発展加速」と誇示した。

国営新華社通信によると、23年は中国の自動車産業も歴史をつくった。中国汽車工業協会(CAAM)のデータでは23年の中国の自動車生産台数は3016万1000台、販売台数は3009万4000台と、いずれも過去最多を記録した。うちNEVの生産台数は958万7000台、販売台数は949万5000台となり、9年連続で世界首位をキープした。

BYDの重要なサプライヤーの一つ、均勝汽車安全系統(ジョイソン・セイフティ・システムズ)が安徽省合肥市の肥西経済開発区に構える拠点の生産現場では無人搬送車(AGV)がラインオフした自動車用エアバッグを運び、テスト・検証室ではエンジニアらがテストデータの研究に没頭している。

均勝汽車安全系統は中国の新興自動車部品メーカー、寧波均勝電子(ジョイソン・エレクトロニクス)傘下の自動車安全技術部門。スマートハンドルやエアバッグなど事故が起きた時の被害を軽減するパッシブセーフティー(受動的安全)に関わる主要製品を生産している。

中国では昨年、約3.3秒に1台のNEVが生産・販売された。これには均勝汽車安全系統をはじめとするNEVサプライチェーンによるサポートが不可欠であり、中国NEV産業の新たなエコシステムが徐々に整いつつある。

製造業と裾野産業の全方位的な支援のもと、中国のNEV輸出は大幅に増加し、自動車産業成長の新たなエンジンとなった。統計によると、中国の23年のNEV輸出台数は77.6%増の120万3000台となり、NEVが約26.2秒に1台輸出された。

整備が進む充電インフラ網も中国のNEV産業の発展を後押ししている。中国ではこの1年、充電インフラが約9.3秒に1基設置された。

中国電気自動車充電インフラ促進連盟のデータによると、23年の中国の充電設備の新規設置数は前年比30.6%増の約338万6000基。設備数は23年12月時点で前年同期比65.0%増の累計859万6000基となった。

ロイター通信によると、米EV大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は1月24日のアナリスト向け決算説明会で、中国勢の台頭を大いに警戒していることを示唆。「中国の自動車メーカーは貿易障壁がなければ世界の競合相手を『駆逐』するだろう」と述べた。

テスラは大幅な値下げにもかかわらず、昨年第4・四半期のEV販売首位の座を中国のBYDに譲った。ロイター通信は「BYDは比較的手頃な価格や多彩なラインアップで躍進した」とも報じた。(編集/日向)

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