【豊見城】豊見城市与根漁港の活性化に、ウミンチュ(漁師)と地域住民が取り組んでいる。漁港に関心を持ってもらい魚の消費拡大や後継者づくりにつなげようと、座安小学校6年生の絵を壁画にしたり、鮮魚や野菜の販売、フラや三線などの舞台もあるマルシェを企画。1月21日のイベントは多くの人でにぎわった。(南部報道部・又吉健次)
活性化に取り組むのは糸満漁協与根支部(大城大樹支部長)の組合員で組織する団体「与根っていいヨネ!」で、その中心が大城和也代表(45)だ。活動のきっかけは与根地区観光交流施設「ゆにまーる」が2022年に完成したことで「漁港にみんなの目を向けたい」と思い立った。
そんな時、与根に移住したデザイナーの瑞慶山成人さん(44)と南風亜矢子さん(43)夫婦から「子どもたちに絵を描いてもらい漁港を明るくしよう」と助言をもらった。漁港見学や魚について学んでもらうことで漁業を身近に感じてもらった後、小学生が手がけた原画の中から約40点を、22年末には壁画にした。
第2回の本年度は「大漁旗」がテーマ。洋上を飛び跳ねるマグロを描いた丸山空さんは「壁画になってうれしい」、押鐘くるみさんは「以前は漁港に来ることはなかったけど、家族に壁画を見せたりして来る回数も増えた」と語る。
年に3~4回開く「ゆにマルシェ」にも力を入れている。大城代表、瑞慶山さんと南風さん夫婦は、音楽家で飲食業も営む与根住民の丸山誠さん(51)とえりなさん(42)夫婦と共に立ち上げた団体「ユニ」でマルシェを企画。利用客が長時間漁港に滞在できるよう、鮮魚以外にも地元産野菜やランチなども販売し、出し物も行うように工夫した。
マグロを販売した漁師歴36年の金城高広さん(59)は「マルシェはリピーターも増え魚の売り上げも良くなっている。イベント開催は大変だけど、もっと大きくしたい」と手応えを語る。
漁師以外いなかった漁港にはいま、壁画の撮影などで訪ねる人が現れている。大城代表は「ウミンチュが頑張っているねと地域の見方も変わってきた。催しをきっかけに、子どもたちが将来、海に関係する仕事に就いてくれたらうれしい」と夢を膨らませた。