アイドル史に残る「衝撃のデビュー戦」を飾ったukkaの可能性は無限大

「7」になった新生ukkaのお披露目ライブ

「1月21日は首都圏でも降雪の予報。大雪の可能性も」

そんなニュースが連日、テレビ流れていた。そりゃ、冬だから雪が降ることだってある。でも、ピンポイントで“この日”に降らなくたっていいじゃないか。ukkaが新体制のお披露目ライブをする日に、なんて予報だ!

昨年、ニュースクランチでukkaのインタビューを全3回に渡って短期集中連載させていただいた。それはあくまでもプロローグであり、次なる企画をベストなタイミングで打とう、と考えていたところに飛びこんできたのが、リーダー・川瀬あやめの卒業の報せ。

それと同時に新メンバーが2人加入する、というニュースも入ってきた。何をどうするのがベストなのかはわからないが(本当なら、卒業ライブと新体制お披露目ライブのどちらもしっかりと報じるべきなのだが……)、ここはもう彼女たちの「未来」に賭けたい、そう思って取材を申し入れた。

それなのに、大雪が降るかもしれないという憂鬱な天気予報。会場のLIQUIDROOMは恵比寿駅から徒歩数分。雪が積もらなければ問題ないが、交通機関の乱れも含めて、いろんな心配事が頭をよぎる。熱心なファンの方は何があっても駆けつけるだろうけど、ちょっと関心がある程度の人たちにとって、悪天候はとんでもなく高いハードルになる。

そんなことを考えて、モヤモヤとした日々を送っていたのだが、ライブの前日には天気予報から雪のマークが消えた。そしてチケットも前売りの段階で完売した、との情報も。これでなんの心配もなくなった。当日は朝から雨模様だったが、開場する頃には青空まで広がるライブ日和に。これは最高のお披露目記念日になる!

オールスタンディングの客席はギッシリ超満員。開演と同時にステージには5人のメンバーが登場。これは昨年末の川瀬あやめ卒業ライブを受けての「6-1」の形である。

5人が呼び寄せるポーズをとると、新メンバー2人が見参。これで「5+2」。

すると、5人がサッと後方に下がって、新メンバー2人がステージの真ん中に立つ。こうなると「2+5」に映る。

別にセリフや説明があったわけではないが、短時間のうちに目まぐるしく見え方が変わっていく。そして1曲目の『つなぐ』のイントロが流れた瞬間、ukkaは「7」になった。

▲メンバーの増加により、新たなフォーメーションも生まれる

新メンバーが加入してしばらくは、どのグループでもちょっと手探りの状態を歩むことになりがちなのだが、ukkaはライブ冒頭の数十秒間で進化の過程を美しく魅せて、パッと新世界へと観客を引き込んでくれた。これはなかなかできることではない。

いくつもの仕掛けでファンを喜ばせてくれた

新メンバーは中学3年生の宮沢友、中学2年生の若菜こはる。

▲宮沢友

▲若菜こはる

似たようなタイプだと、同じ中学生ということでニコイチに見えてしまいがちだが、自己紹介トークでまったく正反対のタイプだと判明。これは非常に大きなポイントだ。

しかし、コロナ禍を超えて、自由に声出しができる状況になっていて本当に良かった。ファンが2人を完全にウエルカムな気持ちで迎え入れてくれていることは、大きな声援ですぐに伝わってきたし、ステージと客席が一体となって、新体制を盛りあげていくぞ! という空気感が、どんどん大きくなっていくのも手に取るようにわかった。

これはukkaの歴史のなかで、とてつもなく重要な瞬間に立ち会っているのかもしれない。そう思うと、さらに高揚感が増すし、セットリストもフロアを爆発的に熱狂させるような構成になっていたから、大雪が降るかもしれない、なんて言われていたのがウソだったみたいに、館内は熱気でものすごいことになっていた。

▲熱狂に負けないパフォーマンスを披露するukka

さらにファンを喜ばせる仕掛けがあった。最初のMCコーナーでは、3月にスタートする春ツアーの概要を発表。これはうれしいニュースだが、東京公演は7月だし、まだちょっと先の話だ。そう思っていたら、次のMCコーナーではメンバーが真っ赤なコートで衣装を隠している。その下にはあるのは新衣装。アイドルが新衣装を身に纏うということは、すなわち新曲が決まった、ということ!

そんな流れで初披露された新曲『Overnight Rainbow』。新曲が出るということは、近々リリースイベントが開催される、ということでもある。次に見られるのは春ツアーかと思っていたのに、2月4日からリリイベが始まるとなったら、それはもう歓喜は2倍にも3倍にも加速する。新たな門出の日に、ここまでしっかりと仕込んでくれていたのは、本当に素晴らしいことだと思う。いや、パーフェクトな船出と言っていいだろう。

6人から7人になり、歌割りも変われば、フォーメーションも変わる。

メンバーが奇数になったことで、明確にセンターが浮かびあがるフォーメーションも増えたのだが、そこにもう新メンバーが立っていたり、歌い出しを新メンバーが担当するようなシーンも。これは彼女たちがいきなりアイドルになったわけではなく、スタプラ研究生としてレッスンやステージを重ねてきたからこそできること(いや、それでも短期間でukkaとして、ここまでパフォーマンスをできてしまうのは驚嘆モノなのだが)。

リリイベを経て、春ツアーのころには、どんな「7人」になっているのか? 新メンバーが加わったことで他のメンバーにも、昨年までは見られなかったような表情が動きが出てきたし、想像もできない「形」ができていくかもしれない。

ここからずっと追いかけていったら、間違いなく面白いところに連れて行ってもらえる! そう確信したアイドル史に残る「衝撃のデビュー戦」だった。これは見ておいて本当によかった!! アイドルの可能性はいつだって無限大なのだ。

▲新生ukka。追いかけてみてはいかがだろうか!

(取材:小島 和宏)

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