ぼたん鍋から「ししハンバーグ定食」まで イノシシの原田さんがイノシシ料理をふるまう理由【新城市】

「名代和食 三河ししや」の絶品鍋

愛知県東部の山間にある新城市で、おいしい肉料理が食べられると評判となっているのが「名代和食 三河ししや」です。地元で有名な「イノシシの原田さん」こと原田民夫社長が営むイノシシ料理の専門店。「新城市民ならだいたい知っている」といわれるほど人気店なんです。

ぼたん鍋3300円

「三河ししや」の名物は、「しし肉」と呼ばれるイノシシの肉を味噌仕立てのつゆで食べるぼたん鍋。秘伝のだしと味噌を合わせた自家製スープは、脂がのったしし肉と相性抜群! 脂くどさや臭みが全くなく、しし肉のおいしさを余すところなく堪能できます。

害獣として駆除したイノシシをせめておいしく食べたい

“イノシシの原田さん”こと原田民夫社長

山間にある新城市では、田畑を荒らしてしまうイノシシやシカなど駆除が昔から行われてきました。以前は捕獲したイノシシは焼却処分されていましたが、「それではもったいない」と考えた原田さん。17年前にJAを退職して精肉店「三河猪家」をオープン。退職金などをつぎ込んで、捕獲されたイノシシの肉を食肉として活用する現在の事業をスタートさせました。

ししまぶし

「命を粗末にしない」という思いから、精肉店や「名代和食 三河ししや」をはじめた原田さん。多くの人にしし肉の良さを知ってもらいたいとさまざまな料理を考案しています。しし肉をご飯の上にたっぷりとのせた「ししまぶし」や「しし丼」など、ほかでは見かけないメニューもズラリと並びます。

ししすき焼

甘辛いたれがたっぷり絡み、ジューシーな肉のおいしさが際立つ「ししすき焼」も人気のメニュー。ほかにも、定食メニューの1つとして提供される「しし焼肉」はご飯がぐんぐん進むおいしさと評判の一品です。

ししハンバーグ定食

鉄板の上でジュージューとおいしそうな音を放つ「ししハンバーグ定食」は、お子さま人気ナンバーワンです。「ししヒレカツ」も、豚肉とは違ったうまみが味わえると好評!

田畑を荒らしに来たイノシシを捕獲

罠も原田さん自ら設置

しし肉の魅力を広めたいという原田さんが持つもう1つの顔がイノシシハンター。農作物や農家の生活を守るためには、誰かが害獣駆除を行わなければなりません。捕獲には危険を伴うので、農家といえども簡単には手を出すことができません。原田さんはそうしたイノシシに悩む農家の皆さんから依頼を受け、田畑を荒らしに来たイノシシの捕獲を行っています。

現在のルールでは販売が困難

品質が落ちてしまう

以前は捕獲したイノシシを精肉して店で提供していましたが、原田さんによると現在はやむを得ず中止しているとのこと。過去に発生した「豚熱」により、捕獲したイノシシの肉を販売することが難しくなってしまったのです。

2020年1月に豊川市で豚熱陽性のイノシシが発見されて以降、愛知県では豚熱陰性のイノシシのみを食肉加工して販売できるように改められました。現実的には検査に出してから結果を待っている間に、肉の品質が落ちてしまうとのこと。そのため現在は九州から新鮮なしし肉を仕入れ、「ししや」で料理として提供しているそうです。

命を粗末にしない

原田さんによると現在、捕獲したイノシシのほとんどは焼却処分に。駆除のための捕獲ではお金をもらっておらず、処分の費用も原田さんが持ち出しで対応しています。それでも原田さんは「イノシシも必死で生きているのだから、獲れたものはありがたく頂くのが一つの供養」と話します。

しし肉バーベキューは原田さんの子どもや孫たちも「うまい! うまい!」と大満足。その言葉に原田さんもまた「報われたような気がする」とほっとした表情を見せていました。

(2月3日 18:30~放送 テレビ愛知「千原ジュニアの愛知あたりまえワールド☆~あなたの街に新仰天!~」より)

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