３大会ぶりのアジア王座奪還のミッションはベスト８で潰えた。
現地２月３日、カタールで開催されているサッカーのアジアカップは準々決勝が行なわれ、日本代表はイラン代表と対戦。日本は先制ゴールを挙げ、１点リードで前半を折り返したが、後半序盤に同点に追い付かれると、その後はイランの猛攻撃に防戦一方。終了間際のアディショナルタイムに痛恨のPKを献上してしまい、万事休す。１-２で敗北した日本は２大会ぶりに８強で姿を消した。
ベスト８入りを果たした森保ジャパンは、前日に性加害疑惑を報じられたMF伊東純也のチーム離脱が正式決定する緊急事態に。思わぬ騒動のなかで迎えた大一番で、森保一監督は前回のバーレーン戦から先発を３選手入れ替えて臨んだ。
先制したのは日本。前半28分にFW上田綺世のポストプレーでパスを受けたのは、スタメンに抜てきされたMF守田英正。28歳の大型ボランチは強引にドリブルで中央突破すると、ペナルティエリア内まで侵入してシュート。ボールは相手GKの足に当たりながらもゴールに吸い込まれ、日本が待望の先制点を奪った。
前半を１点リードで折り返した日本だったが、55分に相手FWアズムンから絶妙なスルーパスを受けたモヘビが素早く右足でシュートを打つと、GK鈴木彩艶の右下を抜けて、イランに同点ゴールを許してしまう。
流れを変えたい森保監督は67分に三笘薫と南野拓実を投入するが、日本の劣勢は変わらず。逆に勢いに乗るイランの波状攻撃に何度も危ない場面を作らせてしまう。なんとか耐えていた森保ジャパンだったが、後半終了間際のアディショナルタイムに悪夢が待ち受ける。
ペナルティエリア内で冨安健洋と板倉滉が連係ミス。ゴール前の混戦から、DF板倉が相手の足を引っ掛けて倒してしまい、主審は迷わずPKを宣告。千載一遇のチャンスにスタジアムに駆け付けたイラン・サポーターは大盛り上がり。運命を分けるPKを主将のジャハンバフシュが豪快に左隅に蹴り込み、イランがついに逆転に成功した。
そのままタイムアップの笛が鳴ると、ベンチからイランの選手たちが飛び出してきて歓喜の輪ができ、意気消沈した日本イレブンは会場に鳴り響くイラン・サポーターのチャント（大合唱）を聞きながら、唇を噛むしかなかった。 森保ジャパンを撃破し、４強入りを果たしたイランの戦いぶりには同じ中東メディアから賛辞が上がっている。開催国であるカタールの日刊紙『Aljazeera』電子版は「イランは最後の数分間を生き残り、ベスト４進出を決めた」との速報を打った。さらに、「日本が前半を１-０とリードしたが、間違いなくイランの方が有利に試合を進めていた」と冷静に試合を分析する。
同メディアは、球際で日本を全体的に圧倒したイランが「勝者に値するチーム」と強調しながら、「日本の選手たちは、最も悲惨的な負けを喫し、完全に打ちひしがれているように見えた」と痛烈にジャッジ。グループステージで見せた強さが影を潜めるほど、森保ジャパンは「弱々しく感じた」と厳しく評し、その一方で勝ったイランには次のように称賛を綴っている。
「イランの選手たちは涙を流している。シリアに苦杯をなめさせられ、その過程でエースストライカー（タレミ）を失ったチームは、この記念すべきアジアカップで、またしても素晴らしい逆転劇をやってのけた」
打倒・日本を誓い、強い気迫を見せて最後に力でねじ伏せたイランは２大会連続で準決勝に駒を進めた。一方で、大会前には「史上最強」と謳われ、３大会ぶりのアジア制覇を期待された日本は厳しい現実を突き付けられた。
構成●THE DIGEST編集部
