【ローズ】の栽培方法と活用アイデア4選|桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第23回は【ローズ】です。

本連載の他、桐原春子さんの記事はをご覧ください。

花も香りも魅力的な【ローズ】

花の美しさ、香り高さから、ヨーロッパでは古くから「花の女王」と呼ばれてきたローズ(バラ)。ここではハーブとして利用されるローズについてご紹介します。

別名/バラ(和名)
科名/バラ科
性質/落葉低木
樹高/50~500cm

ローズは花も香りも素晴らしい

「ローズは花が美しいうえ、香りは種類により特徴があって素晴らしく、多くの人を魅了してきました」と話す桐原春子さん。

種類は豊富で、2万種以上もあるといわれますが、ハーブとして利用されるのは、野生種やオールドローズと呼ばれる古い時代の種類。ロサ・ダマスケナやロサ・ケンティフォリアなどは、花弁から香料の原料となる貴重な精油を採取する目的などで、ロサ・ガリカは薬用として、古くから栽培されてきました。日本に自生するハマナス(ロサ・ルゴサ)は、花は精油、果実は食用になります。

「花びらはポプリにして色と香りを楽しんだり、ティーやお菓子の材料に。生の花びらは、苦みのある基部を取り除いて、サラダに散らしても」

花の収穫期は初夏。

「ローズを育てていない方や、たくさん必要なときは、ハーブ専門店などで売られているティー用のドライローズが便利です。ティーの他、ポプリやクラフトにも使えます」

また、秋に熟すロサ・カニナの実はローズヒップと呼ばれ、ティーやジャムなどに利用する。ビタミンCが豊富で、含有量はレモンの10~20倍といわれている。

栽培をスタートするなら冬が適期

ローズを育てたい場合は、秋~冬に出回る大苗や、春に出回る新苗を購入し、庭や鉢に植えつけます。

「大苗は丈夫で扱いやすく、初心者にもおすすめ。植えつけの適期は冬なので、3月までに植え終えます」

植えつけ後は、日当たりと風通しのよい肥沃な場所で育てること。

「ハーブとして利用する場合は、無農薬で育てて。実を利用する場合は、花が終わっても切り取らず、秋に赤く色づいたら収穫します」

ロサ・ ダマスケナ

別名ダマスクローズ。ピンク色の半八重咲きのオールドローズ。花径は5~7㎝。ローズの代表的な香りである、甘く華やかなダマスク香がある。多くの芳香種の親となった種としても有名。

ロサ・ガリカ オフィキナリス

濃いピンク色のオールドローズ。ドライにしても色が鮮やかに残る。花弁が20枚ほどの半八重咲きで花径は5~8㎝。香料用の他、古くは薬用としても利用された。

活用アイデア①② ハーブティー&ジャム

春を待ちながら、ローズの香りのティータイムを。

お皿にのっているドライハーブは、右上からローズマリー、レモンバーベナ、ペパーミント、ローズのつぼみ・花びら、シナモンスティック、ローズヒップ、ラヴェンダー。好みでミックスし、お気に入りの味を見つけて。

ジャムは、フレッシュローズでも作れますが、今回はドライの花びらで。クラッカーに添えたり、ティーに入れたりして召し上がれ。

ハーブティーの作り方(2人分)

❶使用するポットとカップは事前に温めておく。

❷ポットに熱湯450㎖と好みのハーブ(ドライの場合は大さじ1程度、フレッシュの場合は大さじ3程度)を入れる。

❸蓋をして2~3分蒸らす。

ローズジャムの作り方(作りやすい分量)

❶鍋に水100㎖を入れ、ジャム用ペクチン10gを振り入れる。弱火にかけてよく混ぜ、沸騰直前で火を止める。さらによく混ぜて、ペクチン液を作る。

❷ローズの花びら(ドライ)10gと水150㎖をミキサーやフードプロセッサーに入れ、撹拌する。

❸別の鍋に②を入れて弱火にかけ、2分ほど煮たら、砂糖100gと①を加えてよく混ぜ、さらにレモン汁大さじ2.5を加えてよく混ぜ、火を止める。

活用アイデア③④ ローズボール&サシェ

ローズのつぼみをたっぷりと贅沢に使ったローズボールは、リボンやひもをつけて部屋に吊るしても、そのままコロンところがしてもおしゃれ。濃厚な甘い香りが漂って幸せな気分に。

ハート形の愛らしいサシェには、ローズのつぼみや花びら、ラヴェンダーなど、好みの香りのドライハーブを詰めて。布にリボンを縫い留めたり、刺しゅうをしたり、自分ならではの作品を作ってみてください。

ローズボールの作り方

❶直径5㎝の球形の発泡スチロールに、縦方向に約8㎜間隔で、竹串で穴をあけ、ぐるっと一周する。上から見た図の番号順に、これを6回繰り返す。

❷ローズのつぼみ(ドライ)約75gの根元のふくらんだ部分に接着剤をつけ、①であけた穴に埋め込んでいく。発泡スチロールが見えている部分には適宜、竹串で穴をあけ、ローズのつぼみを同様の方法で留めつける。
※吊るす場合は、ボールの頂点に竹串で穴をあけて接着剤を入れ、ループ状にして根元をねじった地巻きワイヤを埋め込み、リボンなどを通す。

サシェの作り方

❶10~12㎝角の布を2枚用意し、1枚の布の裏側にハート形を描く。

❷①の布を中表に合わせて留め、①の線の内側0.5㎝を、返し口を約5㎝あけて縫う。

❸①の線に沿って切る。ハートの上部のくぼみの部分は0.3㎝ほどの切り込みを入れる。

❹布を表に返し、ハートの輪郭に沿って手芸綿を少量詰め、ハートの輪郭を出す。

❺好みのドライハーブ(ローズのつぼみの場合は5輪程度)を入れて、返し口を縫い閉じる。
※詰めるドライハーブの種類や量によっては手芸綿を入れず、ドライハーブのみを詰めてもOK。

撮影/川部米応 イラスト/山田 円

※この記事は「ゆうゆう」2020年2月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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