「駅構内にカニ」 奇妙なSNS投稿はネットストーカーの罠!? 画像・動画アップは要注意 防犯アドバイザー「瞳に映ったものから場所特定」

駅にカニが!?…本当にそんなシーンに遭遇したら、SNSにアップしてしまいそうですね ※画像はAIが作成したイメージです/話題になった投稿の状況を再現したものではありません(Adobe Firefly/stock.adobe.com)

突然ですが、みなさんは携帯電話で撮影した写真をSNSにアップしたことはありますか? 偶然出会った野良猫やきれいな景色などを投稿する人は多いと思いますが、場合によっては「特定」されることもあるので、注意が必要な行動のひとつです。

たとえば2020年頃、SNS上に「地下鉄駅構内にカニが落ちていた」とカニの画像とともに公開された投稿が話題になりましたが、のちに「駅に変わったものを置いて、SNSに投稿した人を特定する」という狙いがあることが明らかに。カニを置いた当事者や目的などは不明のままでしたが、まさか「特定のため」という可能性を秘めていたことに、恐怖を感じた人が続出しました。

「変わったもの」があれば誰しもが撮影、投稿をする時代だからこそ、ポイントになるのがリスクヘッジ。そこで防犯アドバイザー、犯罪予知アナリストとして活動する京師美佳氏に、“駅構内にカニ事件”の対処方法について話を伺いました。

とにかく「投稿しない」のが一番!

――2020年頃にアップされた「地下鉄通路にカニが落ちていた」という画像つきの投稿に対し、「ストーカーの仕かけたワナ」という狙いがあったとして話題を集めました。駅に変わったものを置いておき、「画像をSNSに投稿した人を特定する」という新手な特定方法だと思いますが、これについての具体的な対処方法を教えてください。

「単純にこういった拾ったものをSNSにアップしないのが安全です。このほかにも危険な目に遭うこととして鍵や財布、キーホルダーなど良くある落とし物を拾って、『最寄り駅で拾った。これから交番に行く』と投稿し、最寄り駅を教えて駅で待ち伏せされ、尾行されたのちに自宅も特定され、付きまといの被害を受けたという事例もあります。拾ったものは交番に届けて、SNSには絶対に投稿しないでください」

「旅行先」「出張先」といった言葉でカモフラージュ

――もし現住地が特定されかねない写真をSNSにアップしてしまった場合、その後にリカバリーとして何をするべきでしょうか。

『自宅』『家の近く』などの言葉とともにあげてしまっているのであれば、削除する必要があります。

そうでなければ『旅行先』『出張先』『仕事先』など、スポット的に立ち寄った場所であると追記すれば特定されにくくなります。

初めから気がついている場合は、もちろんアップしない、もしくは特定されることが書かれている場所にモザイクなどの加工を施してから公開する方が安全です」

(yamasan/stock.adobe.com)

特定されることの危険性ってどれくらい?

――素人の私からすると、「最寄り駅の特定」くらいでは最悪の事態にはならないと思ってしまうのですが、京師さんから見て「近所を特定されること」の危険性はどのくらいなのでしょうか。

「駅が特定されたら待ち伏せして自宅や職場を特定することが可能です。付きまといも嫌がらせもできます。怖いのは相手は自分を知っていても自分はどこの誰に狙われているのかわからないことであり、恐怖でしかありません。

写真の瞳に映るビルから自宅を特定するようなデジタルストーカーもいます。ほかにも配信中の自宅部屋に置かれた配達後の段ボールのあて名書きから特定した者もいます。自分でこれくらいと思うことで、強盗やストーカーなどの被害に遭うので、個人情報の公開にはくれぐれも注意が必要です。

SNSに画像や動画を投稿する際は以下の3つのポイントを守るようにしてみてください。

1:GPSはオフにしてから写真を投稿。スマホの設定だけではなくデジカメのGPSもオフにしないと、緯度経度が書かれているので危険

2:最近のスマホ写真はとても画質が良いので、縮小してから公開するようにする。そうすれば瞳やガラスにうつるものから自宅などを特定されない

3:窓から見える景色が映った画像や動画は投稿しない。看板や電柱、ビル名から特定されることも

常に「特定される可能性がある」と意識することが大切

普段から何気なくおこなっている「SNSに画像や動画の投稿」。恐らくデジタルストーカーの特定能力は私たちの想像以上に優れているため、少しのヒントになる可能性があるものは公開しないことが大切です。

とはいっても外出時に興味関心があるものにたまたま出会うこともあるので、そういった場面でこそ写真を撮りたくなりますよね。

SNSに投稿する際は「特定される可能性がある」という目線を持ちつつ、特定のヒントになりかねない箇所を消したり、加工したりして、少しでもリスクを減らすように心がけましょう。

◆京師美佳(きょうし・みか)防犯アドバイザー、犯罪予知アナリストとして、情報番組やNEWS番組などメディアなど多数出演。セキュリティ全般の知識を活かして講演や啓蒙活動もおこなう。2005年京師美佳セキュア・アーキテクト設立。2009年(社)全国住宅等防犯設備技術適正評価監視機構理事就任。建物の防犯診断、プロデュースなど幅広く活動をおこなう。「60歳から絶対やるべき防犯の基本」など著作多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーター

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(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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