有終の美を動画配信 長崎・丸山華まつり「花魁道中」 スタッフ不足で昨秋終了

タナカハルナさん(中央)が長崎市浜町のアーケードを歩いた「花魁道中」の映像(山口広助さん提供)

 梅園天満宮(長崎県長崎市丸山町)例大祭「ながさき丸山華まつり」で20年以上続いた人気イベント「花魁(おいらん)道中」がスタッフ不足のため、終了することになった。最終回となった昨秋開催時の記録動画を4日正午から、ユーチューブで配信する。
 花街丸山を舞台にした、故なかにし礼さんの直木賞小説「長崎ぶらぶら節」の映画化(2000年公開)を機に地元を盛り上げようと翌01年から、有志が華まつりを企画した。その目玉が花魁道中。ただ地元には資料が残っておらず、京都祇園などの作法を参考に再現した。
 行政の補助金には頼らず、奉賛金で運営し観覧無料を続けてきた。新型コロナウイルス禍による2年連続中止を経て昨年復活した。だが当初20人いた有志スタッフは半減し高齢化。中心を担ってきた梅園天満宮総代の山口広助さん(53)は「残念ながら限界。丸山の文化を現代に伝える役目は一定果たせた」とする。話し合いで昨年11月の21回目を最後に終了を決めた。
 当日は、本県出身の歌手タナカハルナさん(34)が花魁役となり、丸山から浜町のアーケード、中通り商店街を経て眼鏡橋まで往復した。ちんどん屋「かわち家」が笛太鼓を担った。山口さんは資料集めに苦労した経験を踏まえ「後世に再現するときのために」と、有終の美を10分余りの映像に残すことにした。
 同時開催してきた「女神輿(みこし)巡幸」も終了した。その代わり、地元にマンションが増え、子どもの数も増えつつあることから「子ども神輿」として続ける。長崎検番の踊り奉納も継続する。
 記録映像はタナカハルナさんの公式ユーチューブチャンネルで視聴できる。

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