北海道大学、教職員用構内循環バスのアナウンスにアイヌ語導入

北海道大学は、教職員が利用する構内循環バスのアナウンス、停留所の標記にアイヌ語を加えた。教職員がアイヌ語と日常的に接することでアイヌ語に振興につなげ、アイヌ民族との共生を進めたい考え。

北海道大学によると、構内循環バスは2台運行で年間約19万人の利用があり、これまで日本語と英語のアナウンスをしてきたが、このうちの1台でアイヌ語のアナウンスを加えている。

アイヌ語には居住地域によって多くの方言が存在する。バスで流しているのは主として石狩方言で、アイヌ語による活動に取り組んでいる市民団体の「アイヌ語アナウンス部」が音声を収録した。各停留所のアイヌ語表記は北海道大学のアイヌ語を専門とする教員が翻訳している。

北海道大学にはアイヌ民族にルーツを持つ教職員や学生が在籍している。キャンパス内でアイヌ民族の文化と触れ合う機会を設けることでこれらの教職員や学生が自らの文化と接する環境が生まれ、アイヌ語振興の第一歩になるとして導入した。

アイヌ民族は日本国内で北海道に約1万3,000人、ロシアのサハリンやカムチャッカ半島などに約100人いる。ただ、日本では関東地方にも幅広く居住していると考えられているが、正確な数字が分かっていない。

アイヌ語は北海道の先住民族であるアイヌ民族の言葉。話者は2017年の調査で5人とされ、国連教育科学文化機関から極めて深刻な消滅の危機にある言語に分類されている。

参考:

【北海道大学】北海道大学構内バスのアナウンスにアイヌ語を導入(PDF)

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