エアバス幹部「中国の協力パートナーから離れられない」

エアバス幹部「中国の協力パートナーから離れられない」

24日、四川省成都市にあるエアバス航空機ライフサイクルサービスセンターの外観。(成都=新華社記者/劉坤)

 【新華社北京2月4日】欧州航空機大手エアバスの航空機を初めて導入してから約40年、中国の航空業界は同社との提携を加速してきた。中国は同社に大きな市場の将来性と安定的で信頼できるサプライチェーン(供給網)を提供するだけでなく、エアバスが中国を通じて世界に供給できるようにし、世界航空業界の発展も後押ししている。

 中国北部の天津市にあるエアバスA320型機のアジア最終組立工場では新年早々、2本目の生産ラインの準備作業が着々と進んでいた。エアバスが天津にある中国法人、空中客車(天津)総装のジュアン・トゥビオ総経理は同市にある2本の最終組立ラインについて、エアバスがグローバル工業戦略を展開する鍵だと表明。これまでに660機を超えるA320型機が天津で最終組立を完了したとし、ここの施設とエコシステム、中国の協力パートナーとサプライヤーに非常に満足していると述べた。

エアバス幹部「中国の協力パートナーから離れられない」

エアバスの天津工場で始まったA320シリーズの最終組み立てライン増設工事。(2023年9月28日撮影、天津=新華社記者/趙子碩)

 エアバスの中国法人、エアバス中国(空中客車中国)の徐崗(じょ・こう)最高経営責任者(CEO)は、エアバスが2008年に欧州以外で初となる民用機組立ラインを天津に設立し、中国のユーザーに一段と近づいたと指摘。コストを引き下げ、運営・生産の効率を高めるため、サプライチェーンの現地化も加速していると述べた。

 中国の航空機メーカー、中航西安飛機工業はエアバス天津工場の隣に翼の組立工場を構えており、ラインオフした翼をエアバスに直接引き渡すことができる。英国からの海上輸送に比べて納期を少なくとも60日間短縮することが可能となっている。現時点ですでに約200社の中国のサプライヤーがエアバスに製品を供給しており、すべてのエアバス製民間機に中国企業が生産した部品が使用されている。20年にはエアバス社と中国工業部門間の協力事業価値が約10億ドル(1ドル=約146円)に達した。

エアバス幹部「中国の協力パートナーから離れられない」

 エアバスの天津最終組立工場。(資料写真、天津=新華社記者/趙子碩)

 40年近くに及ぶ協力深化を経て、同社が中国の顧客に引き渡す航空機の数は世界への年間納機数の20%前後を占めるようになった。同時に、中国航空業の急成長を受け、中国で産業チェーンを拡張し、中国における航空機の「フルライフサイクル」を網羅するサービス体制も整えている。

 産業チェーンの「先端」にあたる研究開発では、江蘇省蘇州市に中国研究開発センターを立ち上げ、水素エネルギーインフラ、電化・新技術の研究開発に注力している。広東省深圳市に構える中国イノベーションセンターでは製造面のイノベーションや客室体験、ハードウエア実験室、持続可能な発展などに重点を置いてプロジェクトを展開している。

 「末端」の延伸に関しては、四川省成都市に航空機フルライフサイクルサービスセンターを開設し、各機種の駐機と保管、航空機サブリースまたは運航再開に必要なグレードアップ・改修、機体メンテナンスのほか、解体・回収、リサイクル可能な航空機関連資材の管理・取引などのワンストップ型サービスを提供している。

 エアバスと中国パートナーの協力範囲は全産業チェーンに拡大した。アルベルト・グティエレス最高執行責任者(COO、当時)は23年9月、「中国航空業のエコシステムが私たちのさらなる発展を支えていく。私たちは中国の協力パートナーから離れられない」と語っている。

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