真冬の早朝に半袖半ズボン! 「よいしょ!」大声で学区内を駆け回る伝統行事「暁天かけ足」に密着 岡崎市

大声で「よいしょ~」

「昭和感満載な光景が見られる」との情報を聞きつけてやってきたのが、愛知県岡崎市にある岡崎市立城北中学校。学校に行ってみると、最低気温3度の寒空にもかかわらず、朝から男子も女子も半袖半ズボン姿で運動場に集合します。

昭和38年から続く伝統行事「暁天かけ足」

準備運動をする生徒

「よいしょー! よいしょー!」と声をかけながら、準備運動する生徒の姿はまさに昭和の光景。その後、同じように「よいしょ! よいしょ!」と声をかけながら10分間のランニングを行います。

寒げいこ

生徒が行っているのは毎年12月中旬からの1週間にわたり行われる伝統の「寒げいこ」。間もなくやってくる冬の一大イベント「暁天かけ足」に向けた予行演習として行われているそうです。

「暁天かけ足」では生徒のほとんどが半袖半ズボン!

岡崎市立城北中学校で校長を務める山本則夫先生によると、「暁天かけ足」は、昭和38年から続く伝統行事。日の出前に生徒が学校に集まり、男子は約5キロメートル、女子は約4.5キロメートルにわたって学区内を「よいしょ」のかけ声と共に走ります。

体と心を鍛えるために始まったという「暁天かけ足」。始まった頃は、男子は上半身裸で力走。コースの途中では学校の先生が気合を入れるために水をかけていたそうです。

「暁天かけ足」は4年ぶりの本格開催

令和の中学生も大盛り上がり

コロナ禍の直近3年はかけ声なしで行われていた「暁天かけ足」。暗い時間に声を出さずに走るため、生徒はどうしても気持ちが沈んでいたと話します。

しかし今回は4年ぶりに声をかけながら走る本来のスタイルで開催。3年生にとっては、最初で最後の「声あり暁天かけ足」となるため、いっそう気合が入っています。

「元気ですか!?」と校長が大声であいさつ

「暁天かけ足」の本番当日。着々と準備を進める中、山本校長には1つの心配がありました。城北中学校は岡崎城に近い市の中心部に位置しています。夜明け前の寝静まった住宅街を大きな声で走るため、近隣住民の声が気がかりでした。4年ぶりの「声出し」開催となるので、例年以上に苦情が来ることを想定。全ての苦情は山本校長が責任を持って受け止めると話し、先生1人1人に臨機応変に対応するよう指示を出します。

午前5時前になると、生徒が続々と登校。すると運動場に大きな火柱が! 窓の外のキャンプファイヤーを横目に見ながら、教室では爆風スランプ「Runner」のBGMとともに朝礼と準備が始まります。

校庭のキャンプファイヤー

キャンプファイヤーを囲んでのフォークダンスからスタートする「暁天かけ足」。みんなで校歌を歌い、「よいしょー!」と大きな声で伝統の「天突き体操」を行ったらいざ出発です。

夜明け前の寝静まった街に響く「よいしょ」のかけ声。コースの折り返しにさしかかったところで突然雨が降り始めてしまいますが、それでも子どもたちは「よいしょ」と雨を吹き飛ばす勢いのかけ声で、元気よく走っていきます。

中学3年生は龍城神社で合格祈願

合格祈願する生徒

コース途中にある岡崎公園で点呼をすませると、中学3年生は公園の奥へ移動。岡崎城の隣にある龍城神社で合格祈願を行います。

事前に地元住民に周知されていることもあり、心配された苦情は1件のみだったとのこと。一見、時代錯誤にも感じられるような伝統行事ですが、地元住民の支えと理解、そして何より子どもたちが積極的に楽しく参加している姿があるからこそ、令和の今も受け継がれています。

思い出に残る豚汁

午前6時半、いっそう大きなかけ声とともに、無事「暁天かけ足」が終わりました! 冷えた体に染み渡る豚汁の味は、最初で最後の「声出し暁天かけ足」を終えた3年生たちにとって一生の思い出になったことでしょう。

(2月3日 18:30~放送 テレビ愛知「千原ジュニアの愛知あたりまえワールド☆~あなたの街に新仰天!~」より)

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