「地球に穴が開いたかも」ミラノ石川祐希の猛打に現地解説が驚嘆!「セッターを任せても遜色ない」と多才ぶりも絶賛

現地時間2月3日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2023-24シーズン後半6節が行なわれた。男子日本代表の石川祐希が所属するアリアンツ・ミラノは、ファルミタリア・カターニャとホームで対戦し、セットカウント3-0(26-24、25-19、25-17)でストレート勝利を収めた。

ミラノは1週間前に行なわれたコッパ・イタリア準決勝でペルージャと対戦し、8点ビハインドの窮地から石川の凄まじい奮起でフルセットへ望みをつなぐも、3年越しの決勝進出は叶わず。欧州大会のCEVカップでも準々決勝本戦を前に敗退しており、リーグ戦ではなんとしても昨季の4強入りを越える成果を挙げたいはずだ。そのためにはプレーオフを見据え、レギュラーシーズンの残る6試合で5位から順位を上げておきたいところだ。その最中、ミッドフィルダー(MB)で主将のマッテオ・ピアノ(イタリア)が左膝半月板損傷により前日に手術を受けて復帰まで4週間を要することに。さらに、昨季王者のトレンティーノから加入し、石川と対角を組むアウトサイドヒッター(OH)のマテイ・カジースキ(ブルガリア)も、試合当日の練習でふくらはぎの筋肉を傷めてしまい急きょ欠場。3週間の離脱となる模様だ。

万全ではないチームを支え、牽引する重要な役割を任されたのは、昨季もピアノ不在時に主将を務めた石川。直近3試合のすべてでチーム最多得点を記録した背番号14はキャプテンマークを付けて、司令塔パオロ・ポッロ(イタリア)、OHオスニエル・メルガレホ(キューバ)、MBアグスティン・ロセル(アルゼンチン)とマルコ・ヴィテッリ(イタリア)、OPフェレ・レゲルス(ベルギー)とともに先発を務めた。

一方、12チーム中で最下位に沈むカターニャ。白星は、前半2節のチステルナ戦で挙げた1つのみで、ここまで1勝16敗と厳しいシーズンを送っている。それでも、前節のチヴィタノーヴァ戦では、セットカウント2-1で先行の後にフルセットで敗れたが、昨年11月に途中加入した元イタリア代表OHヤコポ・マッサーリが27得点をマークするなど大健闘。その試合と同様のメンバーでミラノ戦へ臨んだ。

第1セット開始から間もなく、バックローからスペースへ落とし込んで自身最初の得点を挙げた石川は、ラリー中の2段トスでリードに貢献する。ところが、味方の誤打の後、珍しく2連続でブロックに捕まると、追いかける展開へ。4点のビハインドを負って迎えた終盤に、石川の高精度なレセプションからフェイントで1点を返したメルガレホが、続くサーブで相手のミスを誘発して接戦へ持ち込む。先に握られたセットポイントを回避した後、ヴィテッリの2連続ブロックが決まり、ミラノが逆転で試合を先行した。
第2セットはいきなり4連続失点でスタートするも、再びメルガレホのサーブや石川のレフト攻撃などで点差を縮める。接戦のまま終盤へ差し掛かったところで、2連続エースを含むポッロのサーブで流れを引き寄せて23-19。そこから石川がショートサーブ2本で連続ブロックを引き出し、このセットも奪取した。
ロセルのブロック2本などで第3セットは序盤を優位に進める。相手の連続エースで一度だけ巻き返しを許すが、その後はブレークを重ね、石川がレフトから放った豪快なストレート弾で4点のリード。好守で粘る相手を再度の連続ブレークとエースで突き放す。石川の強打でマッチポイントを握ったミラノは、2度目のチャンスをメルガレホのバックアタックで仕留めてストレート勝ちを飾った。

石川はアタックのみで9得点を記録。レギュラーシーズンが大詰めを迎えるなか、主将ピアノの復帰までキャプテンとしてチームを預かることになる。

国際バレーボール連盟の配信サービス『Volleyball TV』で解説を務めた元イタリア代表のジョルジョ・ゴルドーニ氏は、第1セットに石川の正確なバックセットがレゲルスの得点を演出すると、「司令塔も顔負けの見事なトス」「セッターを任せても遜色ない」と絶賛。3セット目にブロックの上からストレートへ突き刺した一打には、「なんと猛烈な威力」「地球に穴が開いたかも」と感嘆しきりだった。

5位を維持したミラノの次戦は日本時間12日午前2時開始予定の7節。リベロ谷口渉が東京グレートベアーズからレンタル移籍中の10位パッラヴォーロ・パドヴァとアウェーで対戦する。

構成●THE DIGEST編集部

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