【クイーンC】マイル経験やキャリア数が重要 負けられないサフィラ、東京替わりで注目のテリオスサラ

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好走ゾーンはキャリア3、4戦

昨年の勝ち馬ハーパーはその後、三冠レースで4、2、3着。3着モリアーナは紫苑Sを勝ち、今年のAJCCで4着に好走した。2年前2着スターズオンアースはクラシック二冠、その後、GⅠで4着以下なし。ジャパンC3着、有馬記念2着と最上位ランクの力を示した。

クイーンCはマイル戦ではあるが、ここをステップに出世した馬は中距離を得意とすることが多い。言い換えれば、3歳2月に東京マイルで力を出すには、中距離をこなす素地が必要だ。この視点は予想するにあたり大事にしたい点でもある。データは過去10年分を使用する。

1番人気【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%、2番人気【4-2-1-3】と上位人気が非常に強い。問答無用の実力検定にぴったりな舞台であり、紛れといった要素が入り込む余地が少ない。馬券的には7番人気【0-1-2-7】複勝率30.0%まで。狙っても中穴ぐらいだ。

そんな実力検定的な舞台とあって、1戦1勝馬は【1-2-1-17】勝率4.8%、複勝率19.0%と苦戦傾向にある。1戦1勝馬を買うなら前走東京マイル【1-0-0-3】、京都マイル【0-2-0-0】、京都芝1800m【0-0-1-0】と中央場所が狙い。ただし、中山マイルは【0-0-0-6】。速い上がりの経験が必要だ。東京マイルで新馬を勝ったアルセナールは買い。反対に中山マイルで勝ったサクセスカラーは苦しい。

キャリア2戦以上では、3戦が【5-3-2-22】勝率15.6%、複勝率31.3%とよく、4戦【2-3-3-24】勝率6.3%、複勝率25.0%もまずまず。2戦は【2-1-2-28】勝率6.1%、複勝率15.2%なので、浅いキャリアが追い風にならない。

実績最上位サフィラの取捨

阪神JF4着サフィラはキャリア4戦、2勝馬ルージュスエルテは3戦、コスモディナーも4戦で実績上位馬はデータ的にクリアしている。ここからは前走成績を中心に、さらに好走候補を絞っていこう。

キャリア2戦以上の前走クラス別成績をみると、前走GⅠ【3-3-4-12】勝率13.6%、複勝率45.5%が目立つ。すべて阪神JFで、3着以内だと【3-2-0-2】とさらに信頼度がアップする。6着以下【0-1-4-10】で、その間の4、5着は出走がない。4着サフィラはデータ上では判断できない。ただ、その前走は同舞台のアルテミスSでチェルヴィニアの2着。当時、記録した上がり600m33.4はチェルヴィニアと0秒1差であり、決め手は申し分ない。正直、ここは負けられない一戦であり、きっちり賞金を加算しておきたい。

ほかの重賞では前走フェアリーSが【1-2-2-16】勝率4.8%、複勝率23.8%。2着【0-2-1-1】、3~5着【0-0-0-8】、6~9着【1-0-1-5】と傾向は極端だ。中山のマイルでも力を出して連対した馬か、中山で実力を出し切れず大敗した馬が狙いとなる。7着に敗れたテリオスサラは2走前に同舞台の赤松賞2着がある。前走は出遅れて後方から。自分の形に持ち込めなかった。赤松賞のように先行できれば粘り込める。

前走1勝クラス【3-1-0-39】勝率7.0%、複勝率9.3%について、距離別成績を出す。やはり好走は前走マイルからで【2-1-0-21】勝率8.3%、複勝率12.5%、マイル未満は【0-0-0-12】。マイル以上の経験が重要なのは前走1勝クラスでも同じだ。

2勝馬ルージュスエルテは前走東京芝1400mで1勝クラスを突破しており、このデータは不安要素だ。戦歴をみても1800mの新馬7着後、1400mで連勝しており、距離延長に不安を抱える。父ディープインパクトの半兄レッドジェネシスは京都新聞杯を制しており、距離不安を感じる血統ではないが、どう出るだろうか。

同じく前走未勝利【1-1-1-20】勝率4.3%、複勝率13.0%も、前走マイル【1-1-1-11】、それ以外【0-0-0-9】で前走マイル経験が条件だ。しかし、中山マイルは【0-0-1-5】で、モリノレッドスターはやや不安。ただし、新馬2着は東京マイル戦。勝ったのは新馬のデータで登場したアルセナールだ。序列はまだ定まっていない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。



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