「オールスターではなくとも、彼はスーパースター」球宴落選もマレーに対するナゲッツ指揮官の信頼は揺るがず<DUNKSHOOT>

昨季王者デンバー・ナゲッツは、現地時間2月2日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦に120-108で勝利。直近11戦で8勝目をあげ、ウエスタン・カンファレンス4位の34勝16敗(勝率68.0%)とした。

この日の主役はニコラ・ヨキッチ。「彼がフロアにいると、いつだって正しいプレーをする」とチームメイトのケンテイビアス・コールドウェル・ポープが話したように、27得点、22リバウンド、12アシストのトリプルダブルに2ブロックと、勝利に導く働きを見せた。

ナゲッツはヨキッチを含めて計7選手が2桁得点を記録。チーム全体で34アシストをマークするなどバランス良くオフェンスを展開し、50試合を終えた時点で昨季の戦績に並んだ。球団史上初のリーグ制覇を成し遂げた昨季からブルース・ブラウン(現トロント・ラプターズ)、ジェフ・グリーン(現ヒューストン・ロケッツ)といった主力が移籍したものの、ヨキッチを中心に好成績を残している。

「僕らは今もなお、同じエネルギーを持ち込んでプレーしている。それは僕らがチャンピオンシップを勝ち獲ったからというわけじゃない。僕らは競い合うことを好んでいるし、今でもチームとして向上したいんだ」と、ヨキッチは2連覇に向けた青写真を描いていた。

1日に発表されたオールスターのリザーブメンバーにナゲッツからは1人も選ばれず、球宴の舞台に立つのはスターター選出のヨキッチのみとなったが、マイケル・マローンHC(ヘッドコーチ)はジャマール・マレーへの信頼感を改めて強調する。
「数多くのオールスター選手には決してできないことを、彼はプレーオフでたくさんこなしてきた。オールスターではなくとも、彼はスーパースターだと私は見ている」と地元メディア『The Denver Gazette』へ語った。

マレーは昨季プレーオフで平均26.1点、5.7リバウンド、7.1アシスト、1.50スティールにフィールドゴール成功率47.3%、3ポイント成功率39.6%(平均3.0本成功)、フリースロー成功率92.6%を叩き出し、初優勝に大きく貢献。

今季もここまで平均21.0点、3.9リバウンド、6.5アシストに3ポイント成功率39.9%(平均2.4本成功)を記録。1月19日のボストン・セルティックス戦、同29日のミルウォーキー・バックス戦で35得点をあげて勝利に導くと、直近のブレイザーズ戦では13得点、9リバウンド、10アシストとトリプルダブル級の活躍。この男が25得点以上をあげた10試合でチームは無敗ということからも、勝利に直結する働きを見せていることは間違いない。

ただ、ウエストのガードは先発入りしたルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)とシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(オクラホマシティ・サンダー)を筆頭に、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)、アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)といった実力者がオールスターに選出。

ナゲッツはウエスト上位の戦績で、マレーも選出に値するスタッツを残していたが、ハムストリングの負傷などで計14試合を欠場していたことがコーチ投票の結果に響いたのかもしれない。

とはいえ、ナゲッツとマレーが見据えるのは4月中旬に幕を開けるプレーオフであり、球団史上初の連覇にほかならない。初のオールスター出場こそ逃したものの、マレーはナゲッツの勝利のために今後もコート上で輝き続けることだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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