念願の日比谷野音公演に挑む囲碁将棋「目標はTHE SECOND優勝と野音満員」

人気お笑いコンビ・囲碁将棋が2月18日(日)に東京・日比谷野外音楽堂で『ZEKKEI MANZAI TOUR 日比谷野音』を開催することが急遽決定した。2024年で結成20周年を迎える彼らにとって、過去最大規模となる単独公演。しかも、今回は“配信はしない”という公演の意気込みについて聞くとともに、さらに今年5月に第2回が行われる賞レース『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜』について、20年の活動のなかで転機となった出来事について、ニュースクランチ編集部が聞いた。

▲囲碁将棋(文田大介・根建太一)【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-Interview】

野音でライブをするのが二人の夢だった

――『ZEKKEI MANZAI TOUR 日比谷野音』が、2月18日に決定しています。野音でライブをするのは、お二人の夢だったとお聞きしました。

文田大介(以下、文田) そうなんです。デビューしたての頃、東京ダイナマイトさんの野音を見学したことがありまして。それがめちゃくちゃ印象に残っていて、自分たちも同じ舞台に立ちたいと思っていたんです。

根建太一(以下、根建) 僕も東京ダイナマイトさんのライブを見て、野音に憧れをもっていました。バンドのG-FREAK FACTORYのライブを見に行ったときも、照明の演出がかっこよくて、こんなところでやれたらいいなと思っていましたね。あと、野音は大都会のど真ん中に舞台がある感じが、ノスタルジックでいいんですよ。

文田 あの周辺は都会は都会でも、冷たい都会だもんね。

根建 繁華街でもない、無機質なあの感じです。

▲東京ダイナマイトのライブに憧れたと語る文田

――(笑)。野音でのライブは、どのような経緯で決まったのでしょうか?

文田 今年は20周年なので、自分たちらしさが出るツアーをやりたいと思ったんです。何をしようかと考えたときに、YouTubeに出していた「絶景漫才(ZEKKEI MANZAI)」にちなんだライブの開催を思いつきました。お客さんも入れるような絶景を舞台にしようと話し合うなかで、野音があがったんです。でも、初めは会場のスケジュールが押さえられず、諦めるしかなかったんですよね。

〇絶景漫才[囲碁将棋 Official YouTube Channel]

根建 野音のステージが大規模な改修工事をするとかで、空いている日がなかったんです。

文田 そうそう。でも、いまのマネージャーさんが、僕らが野音でやりたがってる話を、いろいろな所でしてくれていたみたいで……。それが、たまたま野音で何かやろうとスケジュールを押さえていた人の耳に入り、急遽、僕らがやらせてもらえるようになったんですよ!

根建 僕はマネージャーさんのことを「ボス」って呼んでいるんですけど、本当にボスのおかげです。

――すごく運命的なエピソードですね!

文田 ただ、野音公演が決まったのが2023年の12月なんですよ。だから、準備期間がめちゃくちゃ短い(笑)。

根建 本番、2月18日、急すぎるって!(笑)

野音プロジェクトチームとして動いてます

――それでは、現在も野音ならではの演出を考えているところでしょうか?

文田 その通りです。いつもは作家さんとネタの打ち合わせをしているのですが、今回は違います。今まで関わってくれたスタッフさんたちが、10人以上もかけつけてくれているんですよ。

根建 普段やっている単独ライブで、こんなにたくさんの人が集まったことはないですね。

文田 GERAというラジオアプリで『情熱スリーポイント』という番組をやっているんですけど、そこで作家をしていただいている方々にも入ってもらっています。これまでは単独ライブでもネタの打ち合わせがほとんどなので、少数精鋭で、しかもリモートでやったりしていたんですね。でも、今回はひとつの催しとして演出とか、細部までこだわらないといけない。なので、普段の単独では参加しない方にまでお声がけしてやっていただいてます。

――たしかに、一大プロジェクトですもんね。

文田 ただ、ここまで人が多いと打ち合わせではなく会議になっちゃってます。マネージャーも「レジュメ」とか「アジェンダ」って横文字を出してくるようになりましたからね(笑)。

▲野音公演に向けて大きなチームが結成されたという

ライブ当日に雨が降ったら謝ります

――屋外でのライブとなると、雨が降ってきたときのことも想定しないといけないですよね

文田 いや、それがみんなポジティブなのか、スタッフの誰も雨が降ってきたときのことを言ってこないんですよね(笑)。これだけ会議して、企画や演出についてもたくさん案を出してくれてるのに。

根建 なんなら、雪の可能性もありますからね。

文田 そうそう。スタッフは「2月ってあんまり雨降らないですよね」と言ってくるんですけど、そんなあるある、聞いたことねえけどな!って。

――あはははは!

根建 雨が降ったら「すみません!」って謝るしかない。

――晴れることを祈りたいと思います(笑)。野音では、これまでのライブとは違う仕掛けを用意する予定なのでしょうか?

文田 野音に来てくれるって、お客さんにとっても特別じゃないですか。だから、来て良かったなと思ってもらえる演出を用意したいと思っています。テーマパークみたいに、お客さんも参加している感じを味わってもらえるよう、いろいろアイデアを出しているところです!

――単独ライブオリジナルのグッズもあるのでしょうか?

根建 はい! まずは寒さをしのぐためのグッズ。

文田 ブランケットとかね。

根建 会場ですぐ使えます。本当は豚汁を配ろうと思ったんですけど、時間が足りなくてキッチンカーを呼べませんでした。グッズを買えば、防寒対策はバッチリです。

▲「豚汁のキッチンカーを出したかった」と悔しがる

――ちなみに、今回のライブは配信をする予定はありますか?

文田 今回は、配信しないスタイルでいこうと思っています。今までと違って、来た人だけが楽しめるようなステージにするつもりです。

――当日に来た人しか体験できないんですね。あとあとDVDにするつもりもないんですか?

文田 記録用に映像は取りますが、DVDも作る予定はありません。だって、これまでDVDを出したことがない僕らみたいな年齢の人が、いまさらDVDを出したら“昔から出したかったんだろうな……”って思われますよね? それはちょっと恥ずかしい(笑)。

「住みます芸人」で変化したお笑いへの気持ち

――囲碁将棋は2024年で結成20周年を迎えます。これまでの活動のなかで、印象に残っている出来事はありますか?

文田 僕は2011年から始まった「あなたの街に“住みます”プロジェクト」で“住みます芸人”をやったときですね。芸人がそれぞれの地域で暮らしながら活動するプロジェクトで、僕たちは地元の神奈川に住んだんです。じつは、住みます芸人を始めるまでは、場合によってはネタなんてウケなくてもいいやと思ってたんです。

たとえば、営業とかでネタをする場合、劇場とかとは違って僕ら目当てで来ているお客さんじゃないから、笑ってくれなくても仕方ないと思ってました。要は、尖っていたんです。

でも、住みます芸人になってから、自分の考えが変わったんですよね。大学から出たばかりの若いマネージャーさんが、必死になって僕らのために神奈川の仕事を取りに行ってくれる。その姿を見てたら、ウケなくてもいいってスタンスではダメだと気づきました。“これは仕事なんだ”って自覚が芽生えたんです。そこからは、掴みを意識した自己紹介などを試して、僕たちを初めて見る人でも楽しめる工夫をするようになりました。

――囲碁将棋を昔から知っている人にとっては、お二人がわかりやすく尖っている印象はなかったと思うので意外でした。

文田 もし、あのまま尖り続けていたら、その尖りがM-1で刺さって、決勝に行ったり、好成績を取っていた可能性もあります。その世界線の自分も見てみたいとは思うのですが、住みます芸人での気づきがなかったら、NGKやルミネの本公演に出ても、ウケずに恥をかいていたかもしれません。だから、住みます芸人をやって良かったなと思ってます。

――なるほど。根建さんはどうですか?

根建 2010年のМ-1ですね。準決勝まで勝ち上がって、8位になれば決勝進出のところ、10位までいけたんです。前の年に優勝したパンクブーブーさんが準決勝では9位で、敗者復活でも勝ち上がったので、その次の順位だったのは、“ここまで来れたんだ”って感覚がありましたね。

野球でいったら、プロにはなれなくても、甲子園に出たぐらいはいけたのかなと思いました。2010年でM-1が一旦終了したので、もしかするとそこで手応えがなかったら辞めちゃっていたかもしれない。そのタイミングで活動を続けていきたいと思える結果を出せたのは良かったです。

結成20周年ツアーは人が来ることを想定してない

――結成16年以上の漫才師だけが参加できる『THE SECOND~漫才トーナメント~』で昨年好成績を残しましたが、出場してみていかがでしたか?

文田 M-1に出ていたときは“決勝に行けたらいいな”ぐらいの感覚でした。でも、昨年の『THE SECOND』に関しては、決勝に行くのが当然だし、優勝もあるかなっていう挑み方をしていました。というのも、周りを見ても、結成16年以上で新ネタを作り続けているコンビは自分たち以外、あまりいないと思ったんです。

さらに、僕らはM-1やTHE MANZAIに少し前まで出ていたので、賞レースの感覚がまだあるので、より有利だと思っていました。ただ、今年は『THE SECOND』に向けてきっちり仕上げてくるコンビがいると思うので、去年優勝したかったかな……というのが率直な感想です(笑)。

根建 本当に出て良かったとしか思えないですね。でも、緊張せずにいけるかなと思ったら、しっかり緊張しました(笑)。ほかの皆さんも、楽屋ではワイワイしていたのに、舞台の袖に行ったらめちゃくちゃドキドキした顔をしていて。2丁拳銃の(川谷)修士さんなんか、今まで見たことないような顔をされてて。コンビ歴が長いと参加できる賞レースがどんどんなくなってくるので、『THE SECOND』のようなイベントがあるのは本当にありがたいです。

▲今年の『THE SECOND』での活躍にも期待したい!

――最後に、今後の目標を教えてください。

文田 『THE SECOND』の優勝はもちろんですが、やはり日比谷野音にたくさんのお客さんを集めたいですね! これまでのライブとは比べ物にならないキャパなので。今回の野音は、3000人分近くのチケットが用意されています。さっきも言いましたが、配信をする予定もないので、ぜひ見に来てほしいです。

結成20周年ツアーとしては、野音のライブ以降もいくつか回る予定があります。でも、ほかのステージは絶景メインでチョイスしているので、人が来ることを想定していません(笑)。東京から新幹線で行って、そこからさらに数時間みたいな感じです。

根建 来れるなら来てみろって感じの、ほぼ挑発的な場所(笑)。そこで漫才やるってのがまたいいので、観光も兼ねて自分たちが楽しもうと思います。

(取材:川上 良樹)


▲囲碁将棋20th anniversary ZEKKEI MANZAI TOUR 日比谷野音

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