来場者が“目撃者”に!? “月へ行く30の方法”がテーマの恵比寿映像祭開催

アーティストと一緒に“月へ行く方法”を探してみる。

本テーマは2018年に開催された現代美術家・土屋信子さんの個展のタイトルからとったもの。最先端の科学技術や理論以上に、アーティストの思考や実践から生まれる発見や創造が月へ向かうためのヒントになるかもしれないとし、サイエンスとは異なる眼差しで現状を超えていこうというコンセプトだ。

映像作家をはじめ、現代美術のアーティスト、パフォーマーなど、総勢30名以上が国内外から参加。写真や映像の展示・上映に加え、参加型パフォーマンス、ラウンドテーブルでのディスカッションなど来場者一人一人が“目撃者”となるような体験がねらいだという。つまり、鑑賞者にとどまらず、記憶し伝えるメディア(媒体)として機能することが期待されているということ。共に感じ、考えることから、私たち自身にも月面着陸を可能にする発想が生まれるかも!?

会期中には日本を拠点に活動する新進アーティストに映像作品の制作を委託する「コミッション・プロジェクト」のファイナリストの発表も。

そのほかイベントが盛りだくさん。ホームページをチェックして、シンポジウムやトークセッションへぜひ参加してみて。

パフォーマンスやライブなども連日開催。
ロサンゼルスを拠点とするパフォーマンス作家・荒川ナッシュ医の参加型パフォーマンスでは、アジアが主体形成する未来を推測するため感情や感性の間にあるものを探求。

荒川ナッシュ医《Mega Please Draw Freely》2021年 テート・モダン、ロンドン Photo:Rikard Osterlund

アルゴリズムから生まれるシーンの数々。
恵比寿ガーデンプレイス センター広場では大型ビジョンを設置、プログラム言語が作り出す映像で大型ビジョンを埋め尽くす。アルゴリズムが織りなす多彩な表現は圧巻。

高尾俊介《CityScape #1》2021年

植物とコミュニケーションは可能?
コンセプチュアル・アートの先駆者、バルデッサリの作品。「植物にアルファベットを教える」行為によってアルファベットの意味が無意味に転じる瞬間からユーモアが浮かぶ。

ジョン・バルデッサリ《植物にアルファベットを教える》1972年/18分40秒 John BALDESSARI, Teaching a Plant the Alphabet, 1972. Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York.

アジア発、アニメーション意欲作に注目。
アジア15地域の映像コンペDigiCon6 ASIAより《月へ向かうヒントが得られる? 11のアニメーション》の上映も。2/6、2/9、2/11 18時~20時、東京都写真美術館1Fホール。

フライング モンキーズ プロダクション《Monsoon Blue》2023年/14分19秒

日常の身ぶりに垣間見るシステムの呪縛。
ピオトロフスカは家族構造や人間行動と社会・文化的生活を含むシステムとの関係性にフォーカス。優しく親密な日常のジェスチャーが「解放と抑圧」に変換する様を捉える。

ジョアンナ・ピオトロフスカ《Animal Enrichment》2019年/3分8秒

日本初公開含む特別プログラムを上映。
写真はアーティスト、デイヴィッド・ハモンズのドキュメンタリー。2/2、2/8 18時~20時、2/11 11時30分~13時30分、東京都写真美術館1Fホールにて上映。

デイヴィッド・ハモンズの芸術と時代《The Melt Goes On Forever》(監督:ジャッド・タリー、ハロルド・クロックス)2022年/101分 ©Michael Blackwood

恵比寿映像祭2024 月へ行く30の方法 東京都写真美術館(東京都目黒区三田1‐13‐3)、恵比寿ガーデンプレイス センター広場(東京都渋谷区恵比寿4‐20 恵比寿ガーデンプレイス内)、地域連携各所ほか 2月2日(金)~18日(日)10時~20時(18日は~18時。入館は閉館の30分前まで) 月曜休(12日は開館、13日休館。※コミッション・プロジェクト〈3F展示室〉のみ3月24日まで) 無料※一部のプログラム(上映など)は有料 TEL:03・3280・0099(代表)

※『anan』2024年2月7日号より。文・松本あかね

(by anan編集部)

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