オアシスが非公開化目指すシダックス株を保有「重要提案行為」が目的 2024年1月の大量保有報告書

東京証券取引所

M&A Onlineが大量保有データベースで2024年1月の大量保有報告書などの提出状況を調べたところ、ドラッグストア業界2位のツルハホールディングスの株式を売却する方向で、イオンとの交渉に入ったことで注目を集めた香港の投資ファンドであるオアシス・マネジメント・カンパニー・ リミテッドが、シダックス株を新規に9.74%保有したことが分かった。

シダックスについては、創業家の資産管理会社である志太ホールディングスがTOB(株式公開買い付け)で63.67%を買い増し、保有割合を80.07%に高めている。

このTOBの成立を受け、オイシックス・ラ・大地が2024年1月5日に、志太ホールディングスが実施した第三者割当増資を引き受け、志太ホールディングスとシダックスを子会社化したと発表した。

オイシックス・ラ・大地によると、「シダックスの非公開化を企図しており、最終的に志太 ホールディングスがシダックスの株式の全てを所有する予定」としている。

オアシスはシダックス株を保有した目的を「ポートフォリオ投資および重要提案行為」とし、「株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある」としている。

いすゞ自動車系のIJTTの保有割合も15%強に

オアシスはシダックスのほかに、いすゞ自動車系列の自動車部品メーカーであるIJTT株も14.23%新規保有したあと1.48%買い増し、保有割合を15.71%に高めた。

IJTTについては、いすゞ自動車が24.44%買い増し、保有割合を65.66%に高めた。

オアシスはIJTT 株についても「株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある」としている。

他方、オアシスからツルハ株の取得を目指しているイオンは、アミューズメント施設を運営する子会社のイオンファンタジー株を5.38%売却し、保有割合を63.03%に引き下げた。

南青山不動産が大豊建設とグローセルを買い増し

2024年1月は、このほかに旧村上ファンド系の南青山不動産が、麻生グループの傘下企業である大豊建設株を1.01%買い増し、保有割合を10.49%に高めたほか、半導体商社のグローセル株についても1.04%買い増し、保有割合を12.67%にした。

いずれも保有目的を「経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」としている。

また北海道と北関東でラーメン店を展開する丸千代山岡家について、創業者の山岡正氏が同社株を2.72%売却し、保有割合を30.35%とした。

山岡氏は2020年当時44%ほどを保有していた同社株の売却を進め、3年ほどの間に保有割合を10%以上引き下げた。

2024年1月の大量保有報告書などの提出件数は907件で、このうち保有割合を増やしたのは301件、新規保有が129件、保有割合を減らしたのが402件、契約の変更などが75件だった。

文:M&A Online

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