捻転差によるパワーを活かしたスイングは切り返し後のP5で捻転差が最大になる理由とは?【ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑/奥嶋誠昭】

捻転差はP4からP5で最大になる

【部位】腰椎と胸椎 【機能】腰と肩の捻転差をつくる

肩は105度、腰は40度回ってトップ

次は、体幹の回転についてみてみましょう。PGAツアープロの平均を見ると、腰と肩の捻転差を大きくつくっていることがわかります。P1ではほとんど両方が正面を向いていて、差はありません。いわゆる「スクエア」な状態です。そこから腰と肩を回していくため、それぞれの回転度数が大きくなっていき、同時に、腰と肩の捻転差も大きくなっていきます。頭に入れておいていただきたいのは、P4で肩は95度、腰が41度も回っていて、「腰と肩の捻転差」は50度以上にもなっているということです。

そして、P5では腰はほぼアドレスのときの向きに戻っています。しかも、P5では捻転差がP4よりもわずかに大きくなっている(54度から57度へ)のです。これはいわゆる下半身リードで「上半身をトップの位置に残したまま」ダウンスイングが始まったことを示しています。P6では腰は左に向いていますが、肩はまだ右向き。それによって、ボールに対して入っていく軌道をインサイドにしています。このように、腰と肩、下半身と上半身が逆向きになっていることについて「分離」という言葉で表現する人たちもいます。肩と腰が一緒に回ってくる動きは「ドアスイング」と言われていましたが、捻転差によるパワーをつくれないうえ、プレーンの向きがアウトサイド・インになりがちです。

●切り返し後のP5で捻転差は最大になる

P4である程度、肩と腰の捻転差ができている。だが、この差が最大になるのは、ダウンスイングを始めた直後。下半身が先に回転し始めるためだ。

出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭

【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。

【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭

スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。 その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。

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