教員不足に悩む小学校の教育改革をZ世代の識者が提言「教育に関わりたいという人をアサインする新しい形を」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「FLAG NEWS」のコーナーでは、深刻化する教員不足解消に向けた取り組みについて取り上げました。

◆深刻な教員不足、教育現場に改革が必要か?

文部科学省は、深刻化する教員不足の解消を鑑み、都道府県と政令指定都市の教育委員会に対し、教員発掘の取組状況などを尋ねる調査を始めました。

調査では2024年度当初の教員不足解消に向け、3月末までに行う具体策や人材確保の見込みなどを確認します。盛山文部科学大臣は、都道府県と政令指定都市の教育委員会に「大学や経済会とも連携しつつ、人材確保の取り組みを強化してほしい」と述べています。

最近、教育現場に行く機会が多いというmicroverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは、以前から教員不足を危惧していて、今のシステムでは大卒で教員になるメリットが現状ではなく、よほどの改革がないと解消はできないと憂います。

また、生徒数が多い大規模な小学校に通っていた渋谷さんは、当時から小学校の教育に違和感を覚えていたとし、「基本的に小学校は1人の担任の先生が全教科を教えるが、例えば「0とはなんですか」という質問に答えられないような人が算数を教えることはどうなのか」と専門性の希薄さに疑問を呈します。

そして、「この時代において、黒板に書いた板書を(生徒に)写させるような教育であればいらない。教えるセンスがある人がちゃんと教えるべき。先生という立場はコーチングのような側面を担えばいい」と持論を述べ、「投資対象として教育は正しいと気づいている人は多いと思うし、教育に関わりたいという人は周囲にも実は多い。そういう人が現場にアサインしながらやっていく、(教育の)新しい形を作っていけばいいと思う」と改革を望みます。

国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは、教育とAIの関係性に言及。「各個人の進捗状況を合理的に捉え、苦手分野を補足するようなことはAIで算出できると思うが、それが民営化した際、AIが暴走し極端な思想を特定の子どもに誰にもわからないように教えるようなこともある。AIも先生のようなことができるかもしれないが、見えない副作用も生まれると思う」と最悪のケースを示唆します。

ただ、モーリーさんはそうした万が一の危険性を排除した末に今の日本の教育システムがあると言い、「その結果、何が生まれたかと言えば、平均リテラシーの高い日本社会で、先進国のなかでも読み書きそろばんの水準をここまでキープしてきたのは珍しいし、極めて良い治安がある」と評価。その上で、「みんなが空気を読んで、きちんと団体行動を取る社会を教育現場から生み出しているが、教員が消耗しているのは、実はそうした安定社会の防波堤に自分がなっているという意識もあるのではないか」と推察。

◆教員不足「過去最悪の水準」…その要因とは

ノンフィクションライターの吉川ばんびさんは、教員の休職者の増加を懸念。実際、2023年10月の時点での32都道府県・12政令指定都市の教育現場では、病気での休職や産休・育休の欠員分3,075人が未配置に。小学校は1,611人、中学校は765人、高校は281人、特別支援学校では326人の欠員分が不足しています。

吉川さんは「先生1人あたり多くの生徒を担当し、(テストの)採点や部活で休みの日も(学校に)行く、どう考えてもハードワークで心身を壊してしまう方が多い。そして、そういう現状を若者が理解している以上、(教員の)なり手が不足するのは当然」と教員不足の要因を指摘していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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