ムムっ! 今回のスタンダードはだいぶ歯ごたえあるぞ「Qi10 ドライバー」

“高弾道でぶっ飛ばす”がテーマの「Qi10 ドライバー」を試打検証(撮影/有原裕晶)

テーラーメイドから登場し、ゴルフ界をにぎわせている「Qi10」シリーズドライバー。中でも、やさしさを追求した「Qi10 MAX」は、同社として初めて上下左右の慣性モーメント値1万を達成したモデルとして話題となっている。今回は、スタンダードモデルの「Qi10 ドライバー」について、「MAX」との違いやヘッドの特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。そしてアスリートゴルファーのヨシダくん(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)に、試打した評価を本音で語ってもらった。

クラブの特徴は? やさしさと操作性を両立したモデル

【ミタさん】
今回は、2月2日に発売されたばかりの「Qi10 ドライバー」です。シリーズ全体のテーマは「ぶっ飛び系 10Kを体感せよ」で、飛距離性能とやさしさを兼ね備えた高慣性モーメントのドライバーが誕生しました

【シオさん】
たしかに、前回試打した「MAX」はかなり飛距離が出ていた印象です。そもそも、どのようにしてぶっ飛び系を実現しているのでしょうか?

従来モデルに搭載されていた「貫通型スピードポケット」や「ツイストフェース」を継承している(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
「Qi10」シリーズに搭載されている新カーボンフェースは、肉厚を調整することで広範囲で反発性能が向上し、芯を外しても初速が落ちにくい構造となっています。さらに、クラウンのカーボン使用量を増やして軽量化し、余剰重量を再分配することで重心位置を最適化。ヘッド後方にウエートを配置することで、インパクト時のエネルギー伝達効率を高め、高慣性モーメントによる飛距離アップを実現したそうです。

【コウタロウ】
カーボンを使って軽量化しつつ、重量配分により高慣性モーメント化しているのですね。ちなみに、「MAX」は縦と横の合計慣性モーメント値1万を達成したモデルでしたが、スタンダードモデルはどのような立ち位置なのでしょうか?

前作「ステルス2」(左)と「Qi10」。前作同様ヒール側に埋め込みウエートを搭載(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
スタンダードモデルの慣性モーメント値は8420g・cm2となっており、前作だと「ステルス2」と「ステルス2 HD」の中間くらいの数値となっています。「Qi10」はやさしさとボールの操作性を融合させたモデルで、前作よりもやさしさ、飛距離性能、直進性などが進化しているそうです。

【シオさん】
慣性モーメントは、前作のスタンダードモデルである「ステルス2」よりも多くなっているんですね。ただ、普段から弾道が低めの私はやさしいモデルの「MAX」でさえ、ロフト角9度で球を上げるのが大変だったので、今回も低弾道が出そうな気がして打つ前から怖いです…

【コウタロウ】
僕も飛距離は出ていたけれど、打ち出し角が低くて低スピン弾道だったので、「MAX」とスタンダードモデルでどのように弾道が変わるのか、試打して比較してみたいと思います。

試打した印象は? 「MAX」とは何もかも違った

【シオさん】
早速打ってみましたが、打感は「MAX」よりも弾き感が抑えられていて気に入りました。インパクトの瞬間にボールが食いつく感触がはっきりと感じられて、テーラーメイドの従来モデルのような馴染みのある打感。前回はバックスイングで勝手にヘッドが戻ってくるようなオートマチックさを感じましたが、今回は自分で操作できる感覚があるので振り抜きやすいです

コウタロウは「Qi10」と「Qi10 MAX」のヘッド性能の差に驚いていた(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
僕も打ってみましたが、打感は「MAX」とずいぶん違います。適度な食いつき感と弾き感を両立しているような印象。シオさんが言う通り、振り抜きの良さや操作性がぐっと上がって、自分で球筋を打ち分けられるモデルです。正直、見た目も打感も性能も「MAX」とは特徴が大きく異なっていて、兄弟モデルというより別シリーズのモデルという感じ

【シオさん】
「MAX」と比べると、同じロフト角9度でも球が上がりやすかったです。ボールスピードも出ていますが、どうしても打ち出しから右に出てスライスになってしまいます。つかまり感はほとんどなく、何度打っても右方向に飛んで行きました。スタンダードモデルでここまで難しいとは…

カチャカチャ機能でロフト角を変更。プラスマイナス2度の調整が可能(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
さすがに普段から低弾道のシオさんが、ロフト角9度は厳しいですよね。ネック部分のカチャカチャ機能でプラス2度してロフト角11度に変えてみましょう

【ミタさん】
ロフト角を11度にしてみて、何か違いはありましたか?

構えるとテーラーメイドらしい綺麗な洋ナシ形。ロフト角9度だとフェース面は若干見える程度(撮影/有原裕晶)

【シオさん】
打ち出しは真っすぐになりましたが、結局はスライスして右に曲がってしまいました。ロフトを寝かせても、つかまり感がアップするわけではなさそうです。9度の時よりも球の高さは出ているけれど、大きな差は感じられませんでした。普段から高弾道で球をつかまえられる人なら合うのかもしれません。

【コウタロウ】
ロフト角を11度から9度に戻してみましたが、見た目の印象がガラリと変わりましたね。構えてみると11度はフェースが見えていましたが、9度はほとんどロフトが見えないので絶壁感があります。僕が打ってみると、そこまで大きく右に行くことはありませんでしたが、たしかにつかまり感はあまり感じられないですね。

2人の「Qi10 ドライバー」試打データ(シオさんはロフト角11度、コウタロウは9度のデータ)

【ミタさん】
試打データを見てみると、バックスピン量は「MAX」よりも少し減りましたが、強弾道で300ydも飛んでいますよ

【コウタロウ】
ヒール側で当たったミスショットでも、弾道補正して曲がり幅を抑えてくれていたので、打点ブレに強いところは魅力的だなと思います。しかし、打ち出し角が低めで弾道の安定感に欠けるところが少し気になりました。ドライバーショットが得意な人でないと、打ちこなすのは難しそうだな…。

まとめ

操作性に優れた打点ブレに強いモデル。「MAX」とはヘッドの特性がかなり異なるため注意が必要

【ミタさん】
テーラーメイドらしい顔つきの「Qi10 ドライバー」。つかまりを抑えた重心設計により、左へのミスを気にせずに使えるモデルです。スピン量を減らして飛ばしたい人で、ヘッドスピード45m/s以上のゴルファーと相性が良いと思います。さらに言うと、適度な操作性と強弾道を求める人で、振り抜きやすさやミスヒットへの強さも欲しいという方にピッタリなドライバーです。平均スコア80~90台前半くらいで、アスリートモデルを使ってみたいけれど、超低スピンモデルはまだ抵抗があるという方はぜひ一度試してみてください。

【コウタロウ】
今回はロフト角9度で試打したので弾道が低めでしたが、ロフト角10.5度のモデルで試打してみたら、また結果が変わるかもしれません。自分の弾道に合わせて、ロフト角を選んでみてください。

■試打したクラブのスペック
テーラーメイド Qi10 ドライバー
●ロフト角:9度 ●シャフト:Diamana ブルー TM50 ●硬さ:S

テーラーメイド Qi10 ドライバー

■マイクラブ情報
シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Regio Fomula MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED 6 ●硬さ:X

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