“モラ夫”から脱出したい妻のバイブル?…弁護士が書いた「モラハラ離婚のトリセツ」が話題に

話題の「モラハラ離婚のトリセツ」、他人事ではないかも

社会でも職場でも様々なハラスメントが問題になる時代。そんな中、結婚生活でも知らず知らずのうちに被害者や加害者になっている場合がある。「もしかして?」と心当たりのある人に読んでほしい本が「モラハラ離婚のトリセツ」(ぎょうせい)だ。年間約1000人が相談に来る弁護士法人「グレイス家事部」の弁護士たちがモラルハラスメント(モラハラ)のあらゆる悩みや疑問に答えてくれる。発刊以来、話題を呼び、いまやモラハラ夫から脱出させてくれる妻たちのバイブル書になりつつあるようだ。

精神的虐待の「モラハラ」も離婚の大きな理由に

令和4年度の厚生労働省の統計によると、離婚件数はなんと17万9099件。気になる離婚理由は「令和3年・司法統計年報(家事編)第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別』で見てみると、どうなるか。

第1位はやはり男女とも「性格が合わない」。そして、男性では2位、女性では3位と上位にあるのが「精神的に虐待する」がある。つまり“モラハラ“も離婚の大きな要因となっている。

ところが、たとえばドメスティック・バイオレンス(DV)であれば、暴力を振るわれることで、被害者と加害者は立証しやすい。けれど、モラハラが厄介なのは言葉や態度による「嫌がらせ」や精神的な「暴力」なので加害者自体やっている意識が薄かったり、被害者も「私が悪いから」と自らを責めてみたり、立証することさえ、難しかったりすることだ。

そのため、この本では「うちの旦那、モラ夫かも?」と疑問に思う妻のために、8つのタイプ別に「モラ夫診断」もできるようになっているのは見逃せない。そして、モラ夫と判断できれば、後は本を読み進んでいけば、対処の方法や離婚にまで辿り着けるようになっているのだ。

「離婚すべきかどうか?」迷った時の参考に

では、家庭内で受けていた“モラハラ”に対して、どう対処すべきなのか?誰もが悩んでしまうモラハラ問題。「離婚」に踏み切れない人も少なくない。本書では「離婚すべき?」という迷いにも寄り添いながら、モラ夫による支配から脱出する方法や、モラハラ離婚を決意した読者にはその注意点までしっかり教えてくれる。

また、実際にあったモラハラ裁判例をマンガでわかりやすく解説。そこに添えられている弁護士の解説やコメントも大いに参考になる。

本書は第6章まであり、第1章の「うちの旦那、モラ夫かも?」ではじまり、第2章「モラ夫とは離婚した方がいい?」と展開。第3章では「モラハラ離婚を準備する!」。第4章は「モラハラ離婚のステップは?」と続き、第5章「モラハラ離婚後のトラブル」、第6章「モラハラ離婚のQ&A」で構成され、モラハラ離婚を決めた人には強い味方になってくれるような1冊なのだ。

弁護士法人「グレイス」家事部で執筆者の一人、部長弁護士の茂木佑介さん

弁護士だからこそ教えられるモラハラ離婚に関する本

「モラハラ離婚のトリセツ」を執筆したのは、年間約1000人が相談に来る弁護士法人グレイス家事部。ちなみに、弁護士法人グレイスは「家事事件」「企業法務」「事故・傷害事件」という分野に特化した部署制を敷き、その分野に集中して、問題解決に取り組んでいるとか。

「家事部」では離婚をはじめ、親権・子の監護・養育費、財産分与、不倫慰謝料請求、相続・相続放棄、遺言など、家庭に関する各種法律問題を幅広く取り扱う。今回執筆した「モラハラ離婚」に関する相談も少なくないが、実際には「モラハラを立証するのは難しい」とのこと。なぜならば、前述したように「肉体的な暴力と違ってわかりづらく、そのうえ、第三者にはもっと被害が認識しづらい。もっと言えば、被害者自身ですら不当な攻撃を受けていると認識できないことさえ少なくない」からだそうだ。

担当の弁護士は「ハラスメントが叫ばれる現代こそ、このような本が必要と考えました。そして、離婚を含め年間1000件もの様々な相談にのってきた弁護士事務所だからできる役立つモラハラの離婚本を発行しようと決めました」と話す。

読みやすく、専門用語をできるだけ排除

執筆に際して気遣ったのは、読者の目線。法律の専門家である弁護士が書けば、難しい本になりやすいと思われがちだ。だから逆に「誰が読んでもわかりやすいことにも尽力しました。そのため、難しい法律用語はできるだけ使わず、一般的な言葉で書くことを心がけました。マンガも入れてわかりやすくもしました」と言う。

結果、シリアスな中身に反比例して、見た目にもインパクトがあり、読みやすい「モラハラ離婚のトリセツ」本が完成。昨年12月10日発行され、書店に並ぶやいなや、たちまち評判になっている。本を読んだある主婦は「モラハラ離婚はよそごとではないと思いました。気がつかないうちに相手からモラハラ被害にあっている人は少なくないかもですね」。

また、この本を手にした中年男性からは「知らないうちに僕も加害者のモラハラ夫になっているかもしれないと思い読みました」。

モラ夫、モラ妻にならないためにも読んでおきたい1冊かもしれない。

心当たりのある人はぜひ!

◇ ◇

「モラハラ離婚のトリセツ」(著者:弁護士法人グレイス家事部、発行(株)ぎょうせい)1500円+税

▽ 問い合わせ先
https://gracelaw.jp

© まいどなニュース