凜/防衛省整備計画局施設技術管理官付係長・東有希子さん、「源流」の仕事の面白さ

学生時代は社会環境工学を専攻し、住環境への興味からデベロッパーに就職した。マンションの設計や長寿命化計画の策定などを担当。リーマンショックの影響で設計していたマンションの計画が頓挫し、ショックを受けた。その経験から「公共事業のような継続性のある仕事」に魅力を感じ、公務員への転職を考えた。
防衛省には2012年度に入省。最初に配属されたのは東北防衛局の調達部建築課だった。東日本大震災で津波被害に遭った松島基地(宮城県東松島市)を担当し、格納庫の建て替えの設計や施工を監督した。印象に残っているのは、完成検査の最中に、犠牲者の冥福を祈る黙とうの放送が流れたこと。自分の手掛けた仕事を含め「被災地で進むさまざまな事業の一つ一つが集まって復興につながる」と意識した。
その後、ほかの地方防衛局や本省での勤務などを経て、本年度から現職。日本全国の自衛隊基地などにある老朽化した施設を集約・再配置し、建て替えや改修をする「最適化事業」の、基本方針とマスタープランの策定に関する監督業務に携わっている。「建物を建てる過程の『源流』に当たる仕事」で、これまでの仕事とは異なる面白さを感じている。
それぞれの自衛隊の運用に適した施設にするため、各地の自衛隊やそれを束ねる各幕僚監部などと話し合いを繰り返す日々。「机上の空論にならないプランを立てられるように」と気を引き締めている。
(あずま・ゆきこ)

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