【漫画】成績学年1位の女子がギャルに勉強を教えたら……熱い友情描くSNS漫画に涙

「友情」というのは不思議なもので、一見馬が合わなそうなふたりほど、固い絆で結ばれていたりする。Xに1月上旬に投稿されたオリジナル漫画『トップランカー』(学年1位が隣の席のギャルに勉強を教える話)は、「学校」でなければ恐らく交わらないであろう正反対の2人の友情を描いた作品だ。

学年トップの学力を誇る真由美は、クラス替えをキッカケに隣の席になったギャルの優里から「勉強を教えてほしい」とお願いされる。最初は面倒に思っていた真由美だったが、次第に優里のひたむきさに惹かれ、2人は仲を深めていく。しかし、優里と一緒に過ごす時間が増えたためか、真由美はテストの結果が芳しくない。ショックを受けた真由美は優里と距離を取ろうとして――。

本作を手掛けたのは、普段はパートや家事の合間に漫画を描いているという浦あられさん(@ura_arr8)。何足もの草鞋を履きながら創作活動を展開し、本作で「ヤングマガジン」(講談社)の月間新人賞で佳作の評価を受けた浦さんに、制作の経緯など話を聞いた。(望月悠木)

■優里を左利きにした狙い

――今回『トップランカー』を制作した背景を教えてください。

浦:もともと連載を持ったり単行本を発刊したりといった夢があり、漫画制作を続けていました。そんな中、幸いなことに漫画関係のお仕事のお話をいただいたのですが、残念ながら折り合いがつかず白紙になってしまいました。当時は心身ともに疲弊していましたが、それでも「やっぱり連載したい」という思いを持ち、賞レース用に描き下ろした作品です。ただ、結果はダメだったんですけどね。

――学校のなかで「勉強」を軸にした理由は?

浦:自分にとって受験勉強は印象深い経験があったため、そこから着想を得ました。「あの時ああすれば良かった」「あれは大変だった……」という強い思いを主人公に乗せることができれば、人間味のある言動を表現できると思ったからです。また、「正反対のキャラを登場させればギャップが生まれるかな?」と考えてギャルを登場させました。とはいえ、「単純に金髪褐色肌のギャルを描きたかった」という気持ちから描きました。

――真由美と優里という対極的な2人はどのように作り上げましたか?

浦:真由美は前述の通り、私の後悔・反省している部分を払拭できるキャラにしました。見た目については優里が先に決まったため、正反対になるように意識してデザインしました。また、会話のテンポを良くするために優里は明るい性格にしています。

――ちなみに優里が左利きでしたがその狙いは?

浦:“転校の話に沈む真由美に笑顔を向ける優里”という絵を映えさせるために左利きにしました。

――真由美と優里の会話が軽快で、ずっと見ていられました。

浦:会話については文字ではなく単語で認識できるように意識しています。漢字ばかり、もしくはひらがなばかりでは、切れ目が分かりづらく、読んでいると認識するのに時間がかかってしまいます。「カタカナや改行で単語の切れ目が分かりやすいように……」という意識が読みやすさにつながったのかもしれません。

――真由美は最初は表情が硬いながらも、優里と接する中で次第に表情が柔らかくなっていく様子も素敵でした。

浦:最終的に真由美が笑顔になることは確定していました。少しツンケンしたキャラなので、「笑顔になりすぎずにツンケンを活かした可愛さが出るように」ということを序盤の作画では意識しました。

――転校してしまった優里の幻想が見え、隣の席を見ると空席になっており、切なさを強く覚えるシーンになっていました。

浦:後悔の気持ちで暗く沈んだ主人公の気持ちと、優里の明るさの対比をライティングを使って出せるように意識して描きました。

――今後も漫画制作における目標は何ですか?

浦:今後はSNSや同人誌での漫画の発表にも挑戦したいと思います。より多くの人に私の漫画を読んでもらい、笑顔になってもらえたら最高です!

(取材・文=望月悠木)

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