佐伯市の文化財保存活用地域計画を文化庁認定 「歴史文化をもっと身近に」【大分県】

佐伯市を代表する文化財の一つ「佐伯城三の丸櫓門」=佐伯市大手町

 【佐伯】佐伯市が作成した「文化財保存活用地域計画」が文化庁の認定を受けた。文化財の継続的な保存・活用の促進を図る国の制度で、県内では竹田市(2022年)、宇佐市(23年)に次いで3件目。「市民誰もが佐伯の歴史文化に誇りを持ち、語ることができる」との将来像を掲げ、達成への道筋と具体策を示している。

 昨年末に開催された文化審議会の答申を受け認定された。官民の連携強化やビジョンの共有に役立つだけでなく、国庫補助金の優遇措置なども受けられる。

 佐伯市は、人口減や高齢化といった社会状況の変化で文化財や伝統が失われる危険性が高まっていることを背景に、21年度から計画作りに着手。有識者と市民でつくる協議会や国、県と検討を重ね、パブリックコメントの意見なども取り入れて完成させた。

 内容は、市の歴史文化の特徴に基づき(1)調べて受け継ぐ(2)価値と楽しさを知る(3)地域づくりに活用する―という三つの視点と、「佐伯の殿様浦でもつ 佐伯藩と毛利家」「豊予海峡の要衝 軍都佐伯」など10の関連資源群を設定。保存活用の具体的手法として▽伝統芸能を体験する機会づくり▽子ども学芸員事業―などを挙げている。

 本文を印刷し、本年度中に市内の学校や図書館などに配布する予定。市ホームページにも掲載する。

 市教委社会教育課は「多くの市民に読んでもらえるように分かりやすさを心がけた。計画の実行を通して佐伯の豊かで奥深い歴史文化をもっと身近に感じてもらい、守っていく意識を高めたい」と話している。

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