【検証 福島県「総合計画前進予算」1兆2381億円】(2) 豊かなまちづくり 安全・安心な暮らし 鉄道の利活用促進

 福島県は鉄道を身近に感じて積極的に利用してもらう「マイレール意識」の醸成に向け、県内地方路線の沿線住民らによる取り組みの強化を促す。住民らから利活用策を募ってプレゼンテーション大会を開き、鉄道の利活用促進や沿線地域の魅力発信につなげる。4049万円を付けた。

 マイレール意識の醸成のためには県民と一体となって取り組みを進める必要がある。新年度、12月に全線開通90周年を迎えるJR水郡線に焦点を当て、記念イベントとしてプレゼンテーション大会を企画する。県内各路線の魅力を盛り込んだポータルサイトの整備も進め、情報発信体制を強化する。

 JR東日本が昨年11月に公表した2022(令和4)年度の県内路線の収支で、水郡線、只見線、磐越西線、磐越東線の4路線9区間の赤字が明らかになった。県と沿線自治体は活性化対策協議会などを通じて議論を進めている。

 激甚化、頻発化する自然災害への対応力の強化にも取り組む。今年度発足した「ふくしま災害時相互応援チーム」の研修を行い、迅速な被災者支援につなげる。災害発生時に県と県内59市町村が応援職員を派遣し合う。研修を通じて職員の対応力を向上させ、円滑な罹災(りさい)証明書の発行や住家被害認定調査を目指す。

 関係者が連携し被災者の生活再建を支える「災害ケースマネジメント」の市町村の実施体制構築を支援する。収入や家庭環境が不安定な被災者の生活再建に向け、災害発生直後からの継続的な状況把握や迅速な支援の実現が課題となる。今年度実施したモデル地域3市町の実践演習の成果を共有し、他市町村の災害ケースマネジメントの取り組みに生かす。両事業に547万円を充てる。

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