EUがAI法に合意 施行に近づく

Foo Yun Chee

[ブリュッセル 2日 ロイター] - 欧州連合(EU)は2日、人工知能(AI)の利用に関する包括的な法律「AI法」の導入で合意した。12月に暫定合意しており、合意は既定路線とみられていた。

同法は欧州委員会が3年前に提案したもので、金融、小売り、自動車、航空などの産業から軍事、犯罪、安全保障に至るまで、AIの利用について世界基準を定める狙いがある。

欧州委員会のブルトン委員(域内市場)は、AI法は歴史的であり、世界初だとする声明を出した。

ベステアー上級副委員長(競争政策担当)はX(旧ツイッター)に「テイラー・スウィフトさんに起こった事が全てを物語っている。AIが悪用された場合にどんな害悪を引き起こすか、プラットフォームの責任、そしてAI規制を執行することの重要性が示された」と投稿し、米人気歌手スウィフトさんの偽画像が拡散された事件を引き合いにAI法導入の重要性を訴えた。

AI法にはフランスが最後まで抵抗していたが、透明性と企業秘密のバランスを取る厳密な条件を確保したことなどで、合意に回っていた。

グーグルの親会社アルファベットやアマゾン・ドットコム、アップル、メタ・プラットフォームズなどが加入する業界団体CCIAは、新法には不透明な点が多く、欧州におけるAIの発展を遅らせかねないとの警戒感を示している。

AI法は、13日に欧州議会の委員会で、3月か4月には本会議で採決にかけられ、夏までに施行される可能性が高い。実際に適用されるのは2026年になりそうだ。

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