京都府沿岸の海面は50年間で15センチ上昇 今世紀末さらに32センチも 気候変動で技術検討会

気候変動に伴う海面上昇の影響を考える府の技術検討会の初会合(舞鶴市喜多・舞鶴21ビル)

 気候変動に伴う海面上昇が京都府の海岸保全に与える影響を考える技術検討会が16日、京都府舞鶴市喜多の舞鶴21ビルで初会合を開いた。21世紀末には府内沿岸の海面が平均32センチ上昇するとの想定で、高潮や高波、津波のシミュレーションを行う方針を確認した。

 技術検討会は、堤防や護岸などの海岸保全施設の整備方針を定めた府の「丹後沿岸海岸保全基本計画」を、気候変動の影響を加味して改定するために設置された。海岸保全施設の高さを決める上で前提となる高潮や高波、津波の規模を調べる目的で、学識経験者や国土交通省職員ら7人で構成。委員長には高潮や高波の理論を研究する間瀬肇・京都大名誉教授が就任した。

 初会合では、府港湾局職員が舞鶴市の年平均潮位について1970~2022年の約50年間で15センチ上昇したと報告。今後、舞鶴港と京丹後市の浅茂川海岸の2地点で、過去の台風などの観測データを基に、気候変動に伴う海面上昇を考慮した高潮や高波、津波の水位や必要な海岸保全施設の高さを試算する方針が了承された。

 試算の土台となる海面上昇に関しては、21世紀末の気温が産業革命以前に比べて2度上昇するとのシナリオを採用。これを踏まえた気象庁の予測に基づき、府内沿岸は2100年に現在より平均32センチ上昇すると算出した。

 府港湾企画課の吉岡浩昭課長は「21世紀の間、世界の海面水位が上昇し続けることはほぼ確実との厳しい見解が示されている。将来にわたって安心安全が確保される海岸を整備するため、検討を重ねていく」と話した。

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