“抜ける”3大原因は「貧血」「血行不良」「ホルモン減少」めまい、腰痛、耳鳴り…不調でわかる「薄毛対策」

(写真:Luce/PIXTA)

多くの女性は、更年期にさしかかる40~50代から髪質が変わり始め、髪が細くなる、コシ、ハリがなくなる、抜け毛が増えるなど、髪の変化が気になり始める。

「女性の髪の機能は一般的に35歳以降は徐々に下り坂になります。それと同時に抜け毛も増え始めるのですが、体質に応じた食事を心がけることで、下り坂を緩やかにすることができます」

こう話すのは、毛髪診断士で中医学をベースとした薬膳で「髪育ごはん」を提唱するてまりさん。てまりさん自身、20代のころに悪性腫瘍の治療による副作用で、抜け毛に悩まされた経験があり、それをきっかけにその人の体質に合った美髪を育むレシピを考案するようになったのだそう。

「女性の抜け毛の原因はさまざまです。更年期による女性ホルモン(エストロゲン)の減少も原因のひとつですが、ほかにも血行不良やストレス、生活習慣の乱れ、睡眠不足、自律神経の乱れなど、さまざまな要因が複合的に絡まり、そのあんばいも個々によって異なります」(てまりさん、以下同)

抜け毛・薄毛の原因には大きく分けて「血(けつ)不足タイプ」「血行不良タイプ」「腎(じん)不足タイプ」の3つがあるのだそう。

■“血”が不足するとすぐに髪に影響が

「血とは、中医学では栄養やうるおいを指し、『血不足』になると全身の栄養状態が悪くなります。髪が細くなったり、ツヤがなくなる、パサつく、うねる、抜け毛が増えるなど、栄養不足による衰えが顕著に現れます」

中医学では髪と血は密接な関係にあり、血が不足すると真っ先に髪に現れるという。女性は月経や出産などで常に血が不足しがちになるので、特に栄養に注意したいタイプだ。

「血を補う食材というものがあります。マグロ、カツオ、レバー、ベリー類、クコの実、なつめなどの赤色の食材や黒きくらげ、ほうれん草、イカなどです」

次の「血行不良タイプ」は、体内で血が巡る力が不足しているため、手足や末端の毛細血管にまで血流が届かず、老廃物がたまりやすくなって肌がくすんで見えたり、冷え性なのが特徴。

「体の末端に血流が届かないため、頭皮の毛根にまで栄養が行き届かず、髪は細くてコシのない髪質になっていきます」

おすすめの食材には、サバ、イワシなどの青魚や、玉ねぎ、ねぎ、にんにく、にら、黒酢などがある。

■“腎”が弱まると地肌が見えるほどに

最後が「腎不足タイプ」。

「“腎”とは、成長や発育、老化に関わる部分と考えます。生殖、成長、ホルモンの分泌と深く関係し、“腎”の働きが衰えるとホルモンが減少し、髪のコシも失われます。腎機能は20代から30代前半をピークに、以降は徐々に低下していきます。加齢により腎の機能が弱まると、ホルモンの働きも弱まるのです」

腎が弱まると、びまん性脱毛症といった分け目の部分が目立ったり、地肌が透けて見えるなど、髪の密度が減ることで全体的にボリュームが出なくなる。

おすすめ食材は、黒豆、黒ごま、ごぼう、ヒジキ、干ししいたけなどの「黒い食材」や、くるみ、海老など。
「美髪を保つためにも、中高年からは腎の気を補う食事を心がけましょう」

チェックリストで自分が当てはまるタイプを確認してみよう。最もが多いのがあなたの該当タイプ。そして、今回、てまりさんが読者世代のために考案した、タイプごとの薄毛改善レシピも参考に。自分に合った栄養をとって、豊かな毛髪を手に入れよう。

【血行不良タイプ】サバ缶味噌汁

<材料>(4人分)

・サバ缶……1缶
・玉ねぎ……1/2個
・味噌……大さじ2~3
・水……400ml
・小ねぎ、七味唐辛子……各お好みで

<作り方>

(1)玉ねぎはくし形切りにする。
(2)鍋に水と玉ねぎを入れ、火が通ったらサバ缶を汁ごと加えて、一煮立ちさせる。
(3)いったん火を止め、味噌を溶いて味を調える。最後にお好みで薬味をトッピングしたら完成。

<ポイント>

・だしを入れなくてもサバ缶の汁のうま味で十分に堪能できる。
・おかずも兼ねた「一汁一菜」のお味噌汁。

【血不足タイプ】黒きくらげとほうれん草のナムル

<食材>(2人分)

・黒きくらげ……10g(3~4枚)
・ほうれん草……1/2株
・卵……1個
・にんにくのすりおろし……小さじ1/2
・ごま油……大さじ2
・すりごま……適量
・塩、こしょう……各適量

<作り方>

(1)黒きくらげは戻しておく。水なら3時間~一晩、ぬるま湯なら30分ほど。戻したら、耐熱容器に黒きくらげがかぶるくらいの水を入れて電子レンジ500Wで1分半温める。水気を切って、千切りにする。
(2)ほうれん草は3cmくらいにカットして、耐熱容器にのせ、ふんわりラップをかけて電子レンジ500Wで1分半温める。
(3)耐熱容器に卵を割り溶いて、ふんわりラップをかけて電子レンジ500Wで30秒温める。途中で混ぜてさらに30秒温め、スプーンでざっくりと混ぜておく。
(4)ボウルに(1)~(3)、にんにく、ごま油、すりごまを入れて混ぜる。最後に塩、こしょうで味を調えたら完成。

<ポイント>

・火を使わずに、電子レンジで簡単に作れる。
・電子レンジを使うことで、ほうれん草の水溶性の栄養素を逃さずとれる。

【腎不足タイプ】まっ黒ごま鍋

<食材>(2人分)

・豚バラ肉……200g
・キャベツ……200g
・しめじ……1房
・にら……1本
・長ねぎ……1/2本
・豆腐……100g

<調味料>

・黒ねりごま……大さじ4
・すりごま……大さじ2
・醤油……大さじ2
・だし顆粒……大さじ2
・山椒……小さじ4
・水……300~400ml

<作り方>

(1)キャベツはざく切り、にらと長ねぎは5cm幅にカット、しめじは石づきを除く。豆腐と豚バラ肉も食べやすい大きさにカット。
(2)土鍋に<調味料>を入れ、混ぜ合わせる。そこに水を少しずつ注ぎながらよく混ぜる。
(3)具材を(2)の中に入れて、蓋をして中~強火にかける。
(4)沸騰したら軽くアクを取り、再び蓋をして5分ほど煮込む。
(5)具材に火が通ったら完成。

<ポイント>

・具材はお好みの大きさにカット。
・末端冷え性が気になる人は、山椒を多めにするのもおすすめ。

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