伊藤若冲の弟・白歳の絵画「雪中雄鶏図」初公開へ 菩提寺の京都・宝蔵寺

初公開される伊藤若冲の弟・白歳が描いた「雪中雄鶏図」(京都市中京区・宝蔵寺)

 江戸時代中期に京都で活躍した絵師・伊藤若冲の弟、白歳の絵画「雪中雄鶏(ゆうけい)図」が、2月7日から京都市中京区の宝蔵寺の寺宝展で初公開される。

 白歳は兄が画業に専念するため、青物問屋の家業を継いだ一方、若冲に絵を学び、趣味で描いたという。福田美術館(右京区)の岡田秀之学芸課長によると、10点ほどの作品があったことが分かっている。

 宝蔵寺は伊藤家の菩提寺で、2014年に白歳の「羅漢図」が寄付されたのをきっかけに、作品を収集し、今回が4作目になる。22年10月に購入し、修理を経て公開に至った。

 「雪中雄鶏図」は縦122.6センチ、横48.9センチで、雪が積もるナンテンと羽を広げた雄鶏を描く。丸く翻った雄鶏の尾羽や、羽の向こうからくちばし、とさかをのぞかせるポーズに若冲の指導の跡がうかがえる。一方、線の硬さや雪の表現には若冲におよばない「素人」らしさがのぞくという。小島英裕住職は「白歳の作品を集めるのは、供養とも思っている。兄の作品との違いも楽しんでほしい」と話している。

 寺宝展は2月12日まで。午前10時~午後3時半(8日は正午まで)。若冲の「竹に雄鶏図」や「髑髏(どくろ)図」を含む計15点を並べる。要拝観料。

© 株式会社京都新聞社