死刑が執行されたいまも多くの謎につつまれた「飯塚事件」描く ドキュメンタリー「正義の行方」公開決定

令和4年度の文化庁芸術祭・テレビドキュメンタリー部門で大賞を受賞した、三部構成のドキュメンタリーBS1スペシャル「正義の行方~飯塚事件 30年後の迷宮~」が、「正義の行方」として映画化され、2024年4月27日より劇場公開されることが決まった。

1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害され、DNA型鑑定などにより犯人とされた久間三千年が2008年に死刑が執行された「飯塚事件」。久間三千年の冤罪を訴える再審請求が提起され、事件の余波はいまなお続いている。「正義の行方」は、弁護士、警察官、新聞記者という立場を異にする当事者たちが語る”真実”と”正義”を突き合わせ、事件の全体像を多面的に描きながら、この国の司法の姿を浮き彫りにしていく。

本作を鑑賞した森達也(映画監督/作家)や、木寺一孝監督、東野真プロデューサーのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■森達也さん(映画監督/作家)
観ているあいだ、自分は今、とんでもない作品を観ているとの意識が、ずっと身体の内奥で駆
動し続けていた。ここ数年、いや間違いなくもっと長いスパンにおいて、これほどに完成度が高く、そして強く問題を提起するドキュメンタリーは他にない。

■木寺一孝監督
異例の早さで死刑執行された人物は真犯人だったのか。いったい何が真実で、何が正義なのか
…。この作品がこだわったのは、弁護士・元警察官・新聞記者という事件の当事者それぞれが信じる〈真実〉と〈正義〉です。立場の異なる人たちの考えを多角的に構成し、三者がぶつかり合う様子をありのままに提示したいと考えました。是非、自分の眼で“真実”とは何かを探ってみてください。

■東野真プロデューサー
テレビ版をご覧いただいた方から「あの番組の登場人物、俳優が演じているわけじゃないですよね?」と聞かれることがある。もちろん冗談まじりだ。職業が顔を作るという言い方があるが、警察官、弁護士、新聞記者それぞれみな「いかにも」と思わせる風貌と語り口なのだ。彼らが自らのキャリアを賭けて語るそれぞれの「正義」にぜひ耳を傾けていただきたい。気がつくと飯塚事件のこと、そしてこの国の司法のことが頭から離れなくなるはずだ。

【作品情報】
正義の行方
2024年4月27日(土)より[東京]ユーロスペースほか全国順次公開
配給:東風
(C)NHK

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