井上萬二さん「陶芸の道」語る 武雄市で講演 佐賀銀行創業140周年記念

自身が歩んできた「陶芸の道」を語る井上萬二さん=武雄市役所1階ホール

 有田焼作家で白磁の人間国宝(重要無形文化財保持者)井上萬二さんの講演会が1月27日、武雄市役所で開かれた。佐賀銀行創業140周年とグループ会社「さぎんコネクト」の設立記念行事の一環で、会場には約100人のファンが集まり、名人の話に聞き入った。

 3月で95歳になるという井上さんは「若い頃から働き過ぎたので最近は腰を悪くしたが、今でも頭はさえており、作品のアイデアは次々に浮かんでくる」と話し、会場を沸かせた。

 終戦後、陶芸の道を志して柿右衛門窯で働き始め、7年間は夕方に仕事が終わっても作業場に残り、先輩職人の技法を試すなど修練を続けた話を披露。「働き方改革と言われる時代だから仕方ないが、若い人には時間外でも勉強する意識を持ってほしい」と話した。

 35歳の孫・祐希さんが跡継ぎとして修行中だが「一人前になるまで、まだ10年は時間がかかる。だから自分もあと10年は頑張るつもり」とし、「何事も努力が必要。運は誰でも持っているが、努力しない人に運は決して巡ってこない」と力を込めて語った。

 会場では、県立九州陶磁文化館の鈴田由起夫館長が「肥前やきもの自慢」のテーマで武雄、有田、波佐見などの陶磁器の特徴を解説。武雄温泉駅南口広場では佐賀、長崎、福岡の特産品を販売する「よかばいマルシェ」も開かれた。(澤登滋)

 

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