独サイトは板倉滉に「頭を切り替えろ」と発破! 低評価が並んだイラン戦、及第点以上の高評価を受けたのは?【アジア杯】

2月4日に行なわれたアジアカップ準々決勝、日本代表は土壇場でイラン代表に決勝PKを献上して敗れ、5回目の優勝の夢はあえなく潰えた。

28分に守田英正の鮮やかなドリブルシュートで先制した「サムライブルー」だったが、後半は防戦一方となって55分に守備ラインを破られてモハマド・モヘビの同点ゴールを許し、アディショナルタイムまで持ちこたえたものの、板倉滉と冨安健洋のCBコンビに致命的なミスが生まれ、相手選手に奪われたところを倒してPK判定……。アリレザ・ジャハンバフシュのゴール左隅へのシュートにGK鈴木彩艶は反応したものの、その手は届かなかった。

「精彩を欠き続け、多くの人々を驚かせたサムライブルーはトーナメントでの戦いを終えることとなった」と伝えたベトナムのサッカー専門メディア『BONGDA』は、イラン戦のポイントとして、「日本が試合終盤に近づくにつれて突如冷静さを欠き、大物としての度胸が完全に不足していた」「アミール・ガレノイ監督がハーフタイムに手を打って戦術を変更するとイランは別人のようになり、これに日本は対応できなかった」と指摘した。

さらに、「板倉と冨安のCBコンビは、1失点目ではオフサイドトラップを仕掛ける際にポジショニングとカバーリングに失敗。その後も連係不足を露呈し、最後に板倉がホセイン・カナアニへのファウルで敗北を決定づけた」と綴った後、同メディアは「優勝候補とみなされながら、早々に大会から姿を消すこととなった森保一監督率いるチームにとって、忘れがたい一戦となるだろう」と締めている。

板倉は試合後に「敗因は自分にある」「これまで試合を壊すことはなかったが、この勝たなければいけない状況でやってしまった。ピッチに立つ資格はない」と自身を責めるコメントを残しているが、所属するボルシアMGのクラブ専門メディア『Gladbach LIVE』は「頭を切り替えられるか? これ以上辛いことはない。ボルシア復帰前に迎えた苦境」と題した記事で、「上手くいかない板倉。彼にとってはなんという厄介なキャリアのフェーズなのか!」と、この日本人選手を見舞った不運に言及した。

「ラウンド・オブ16で日本が敗退していたら、ブンデスリーガ第20節バイエルン戦でプレーしていたかもしれない守備のリーダーは、自らチームを不幸にしてしまう決定的な役割を果たしてしまった。最悪の状況を経験した板倉だが、このアディショナルタイムの悪夢からすぐに頭を切り替えるべきだ。さもなければ、彼の厄災はボルシアMGにも影響を与える可能性がある」 一方、フランスの通信社『AFP』は、「イランがアディショナルタイムのPKで勝利を収めたが、実際には後半は終始優勢に試合を進めており、ずっと前に試合を終わらせられる大きなチャンスが幾度もあった」と伝え、日本の今大会については「カタールで3勝2敗という納得のかない結果を残して激動のシーズンを締めくくった。選手の性加害疑惑による離脱や、ミスをめぐって人種差別被害を受けるなど、ピッチ外でも問題を抱えた」とネガティブに総括している。
また同メディアは、「数週間後には2026年ワールドカップ予選のための、北朝鮮への難しい旅を控えている日本にとって、今回のアジアカップの早すぎる敗退とその内情は、彼らにより深い内省を促すきっかけとなった」とも綴り、カタール・ワールドカップ以降は順風満帆だったチームが分岐点に差し掛かっていることを強調した。

優勝候補筆頭が内容でも圧倒されて早期敗退を喫したとあっては、ネガティブなニュースばかりが流れるも無理はないが、その中でのポジティブな要素は、素晴らしい先制ゴールを挙げた守田の存在であり、彼はAFC(アジア・サッカー連盟)による準々決勝のベストイレブン「チーム・オブ・ザ・マッチデー」にMFのひとりとして選出されている。

今回も全選手を10点満点の採点で評価しているブラジルの総合メディア『Globo』でも、単独最高の「7」を与えられ、寸評では「イランの守備陣を3人抜いて見事なゴールを決め、後半には前田大然との連係で、同じようなゴールを狙った」とフィニッシュに関する面で賛辞を贈られたが、一方で「攻撃のサポートでは良かったが、失点場面ではジャハンバフシュに抜かれてしまった」との指摘も受けることとなった。

守備陣では、板倉が「2」で単独最低だったのに対し、同じCBの冨安は前田と並ぶ「6.5」というチーム2番目の採点で、「日本の守備の安定材。前半では(イラクのFW)サルダル・アズムンを無力化し、後半はほとんどの自陣の危険を取り除く役割を果たした」と称賛され、前田の寸評も「日本の数少ない輝きのひとつ。攻撃陣でボールを奪い、守備をサポートするために上手いポジショニングを見せた」と、ポジティブなものとなっている。

及第点の「6」は毎熊晟矢、伊藤洋輝、遠藤航、久保建英、上田綺世の4人。今大会の収穫とも言える毎熊は「過去2試合ほどの輝きはなかったものの、プレーに妥協はなかった」、幾つかチャンスを生み出した久保には「日本の攻撃を牽引し、51分に上田が頭で決めそうになったクロスや53分に枠を外れるシュートなど、好プレーで貢献。しかし、ボールを失うことも多く、イランの危険なカウンターを誘発した。試合を通して徹底マークされ、試合への影響は限定的だった」との評価が下された。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社