敵失に勢いづく立憲党大会 小選挙区「57→124」が「十分に可能」な根拠は?

立憲民主党は2024年2月4日に開いた党大会で、次期衆院選で「可能な野党間連携を進めつつ、自民党を超える第一党となる議席の確保を全力で追求」することを盛り込んだ24年度の活動計画案を採択した。

共産党と選挙協力して臨んだ前回21年の衆院選では、枝野幸男前代表のもとで「政権交代」を掲げたが、議席は減少。この影響で、泉健太代表は直近の衆院選での具体的な目標として「政権交代」を掲げることは避けてきた。たが、自民党派閥の政治資金パーティー券をめぐる裏金問題という「敵失」で立憲に追い風が吹く中で、これを解禁した形だ。

「次の総選挙で政権交代を必ず成し遂げようではありませんか!」

泉氏はあいさつの中で、「早ければ半年以内にも解散総選挙はあり得る」と指摘した上で「金権政治を抱えている自民党を国家権力からたたき出す必要がある」

「次の総選挙で政権交代を必ず成し遂げようではありませんか!」

などと訴えた。執行部としての次期衆院選の目標については、(1)自民党を上回り第1党になる(2)それによって自民党を政権から外し、新たな政権を発足させ、政治改革、子ども・若者支援教育の無償化など重要政策を実現する(3)その意味で立憲民主党は単独過半数を目指し、さらなる努力を続けていく、などと述べた。

21年の衆院選では、289ある小選挙区のうち、自民が189議席、立憲が57議席、それ以外が43議席を獲得。泉氏の次にあいさつした岡田氏は、43議席が変化しないことを前提に、立憲として124議席以上の獲得を目標に掲げた。岡田氏はオセロゲームを例えに出しながら「我々が124取れば自民党は122になる」。目標実現のためには、67議席を積み増す、つまり倍増よりも高いハードルだが、岡田氏は「十分に可能」だと述べた。

「これは難しいことだろうか?私はそうは思わない。この前の選挙だって、1万票以内の差で負けた人は30人以上いる。新しい若い力が、どんどん手を上げていただいて、あちこちで活動してくれている。私は124という議席は十分に可能だと思う」

立憲では現時点で小選挙区・比例合わせて174人の擁立が決まっており、200人まで増やしたい考え。泉氏は23年5月、次期衆院選での獲得議席が150を下回れば、代表を辞任する考えを表明している。今大会後の記者会見でも、この考えは変わらないことを明言した。

塩むすびに例えられた泉代表、「中に具を入れるとしたら...」→「いりません」

そんな中で登場した「小選挙区で124議席」という新たな目標だが、泉氏は党大会直前の会合で初めて聞かされていた。党大会後の記者会見で、「大枠は、元々ずっとすり合わせてきたものがある」とした上で、経緯を次のように明かした。

「今日まさに大会が始まる前の会合で、岡田さん隣に座ってたんですけど...、いっぱい書き込んだメモの中で、124という数字を見せてくれて『124なんだよ!』という風に言ってくれてですね...。その話、理屈を聞いて『それはそうだよね』という話でですね...」

その上で、岡田氏が掲げた目標は、小選挙区で当選できていない人に対して、具体的な小選挙区の議席数として「直接のメッセージ」を突きつける狙いがあるとみている。

党大会では、来賓の本間正人・京都芸術大学前副学長が、泉氏を塩むすびに例える場面があった。いわく「なんか具が入ってなくて味わいが薄いように思うかもしれないけれども、味わってみれば一番飽きが来ない」。大会後の会見では

「中に具を入れるとしたら、どんな代表になりたいか」

という質問も出たが、泉氏は塩むすび路線で衆院選に臨む考えだ。

「はい、いりません。私は私、塩むすびは塩むすび。このままいきます。天下一品の塩むすびを作りたい」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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