TDB景気動向調査(全国)― 2024年1月調査 ― 国内景気は、4カ月ぶりに悪化

< 2024年1月の動向 : 改善傾向がストップ >

 2024年1月の景気DIは前月比0.7ポイント減の44.2となり、4カ月ぶりに悪化した。国内景気は、能登半島地震の影響ほか、暖冬による季節商品の不振や自動車メーカーの不正問題などがマイナス要因となり、改善傾向がストップした。

 1月は、令和6年能登半島地震により北陸地方を中心に工場などの操業停止や消費マインドの低下といった悪影響が表れた。また暖冬による冬物商品の売り上げ不振や大手自動車メーカーの不正問題なども下押し要因となった。加えて、旅館やホテルなどではオフシーズンを迎え需要の落ち着きがみられた。

 他方、都市開発や半導体関連の設備需要などは景気を下支えしたほか、日経平均株価など金融市場の安定も好材料だった。

業界別:10業界中7業界が悪化、暖冬や自動車の不正問題などが悪材料に

 暖冬や自動車メーカーの不正問題などが幅広い業種にマイナスの影響を及ぼし、10業界中7業界で悪化した。さらに、観光の閑散期を迎え、旅館やホテルなどを中心に需要の落ち着きがみられた。加えて能登半島地震による先行き不透明感も下押し要因となった。

規模別:全規模が4カ月ぶりにそろって悪化、個人消費の落ち込み目立つ

 「大企業」「中小企業」「小規模企業」が4カ月ぶりにそろって悪化した。『サービス』『小売』など個人消費が落ち込んだ一方で、全規模で『建設』『不動産』が好転した。

地域別:能登半島地震の影響などで9地域で悪化、人手不足などの問題も

 『北陸』『北海道』など10地域中9地域が悪化、1地域が改善した。能登半島地震による影響が『北陸』を中心に表れ、特に「石川」は全国で最大の落ち込みになった。加えて、慢性的な人手不足など構造的な問題が下押し、都道府県別では32都道府県が悪化した。

< 今後の見通し : 横ばい傾向で推移 >

 今後は、インバウンド需要ほか、GXなどの設備投資拡大が見込まれるなかで、持続的な賃上げによる個人消費の行方がカギとなろう。価格転嫁の進展などによる企業の業績改善、経済対策の実施、生成AIの発展などはプラス材料と言える。また、能登半島地震への復旧・復興需要は押し上げ要因となろう。

 他方、人手不足や職人不足、2024年問題など構造的な問題に加えて、物価や金利の動向などの影響も注視が必要である。さらに、自動車の不正問題や海外経済の動向も見守る必要があろう。

 今後の国内景気は、2024年問題など構造的な悪材料を抱えるなか、賃上げの継続が焦点となり横ばい傾向で推移するとみられる。

© 株式会社帝国データバンク