<南風>望遠鏡のゆるキャラ

 すばる望遠鏡に「ゆるキャラ」が存在するのをご存知ですか? その名もスービー。ハワイ観測所ウェブサイトの「すばるキッズ・アイランド」コーナーでは、スービーが子供向けに望遠鏡や天文学の紹介をしています。ぜひご覧になってください。 好奇心あふれるつぶらな瞳を持ち、耳には星がついたスービー。顔はすばる望遠鏡のドームと同じく円筒形をしています。頭には大きな鏡(主鏡)と、鏡に反射された光が集まる主焦点が描かれており、望遠鏡の構造を子供たちに教えるのにうってつけです。

 スービーは地元ハワイでの天文イベントや学校訪問でも大活躍です。何せ望遠鏡のゆるキャラは、私が知る限りハワイではスービーのみです。かわいくて物珍しいこともあり、常に注目を浴びています。まるで観測所のキティちゃん、といったところでしょうか。

 スービーにはさまざまなバージョンがあります。山頂技術者や天文学者、事務職員、装置開発エンジニアなどの働くスービーもいれば、ハワイらしくフラダンサーやサーファーのスービーも。七夕の織姫彦星スービーや、こいのぼりに乗った子供の日スービーは、日本文化を伝えるのに一役買っています。

 先月行われた天文学のイベント、アストロデーはスービー帽子をかぶった子供たちで会場はにぎわいました。天文学にさほど興味を持っていない方々もすばるのブースにお越しいただきました。スービーのおかげで天文学や観測所が親しみやすくなった、との声をいただき嬉(うれ)しかったです。

 働くスービーや日本文化スービーなどさまざまな新バージョンを作ってくれたのは、地元ハワイ島の高校生と大学生です。才能あふれる彼女たちは去年の夏、私の下で働いてくれました。子供たちの喜ぶ姿を見るのが楽しみです。

(嘉数悠子、国立天文台ハワイ観測所アウトリーチ・スペシャリスト)

© 株式会社琉球新報社