「ゴールデンカムイ」でも注目…アイヌの伝統的な文様をデザイン、京都の西陣織の名刺入れやポーチ誕生 

アイヌの伝統的な文様をデザインした京都の伝統工芸品・西陣織の名刺入れやポーチなどが商品化された。北海道で活動するアイヌ工芸作家がデザインしており、人気漫画「ゴールデンカムイ」でも注目された文様や鮮やかな色合いが特徴だ。北海道の土産物店やインターネット、新千歳空港(北海道千歳市)などで販売されている。

自身がデザインしたアイヌ文様の商品を手にする藤戸さん(北海道釧路市)=あらいそ提供

新しい北海道土産を模索していた民芸品会社「ほくみん」などの仲介で、西陣織メーカー「あらいそ」(京都市北区)の谷詠治常務取締役(41)と、アイヌ工芸作家の藤戸康平さん(45)=釧路市=らが3月に顔を合わせた。初めて西陣織を手にした藤戸さんは細かく精密な織り目や模様に感嘆。刺しゅうで表現することが多いアイヌ文様を美しく再現できると考え、「ほくみん」、「あらいそ」、京都の染色会社「前田染工」との共同開発を快諾した。

完成した商品は名刺入れやポーチ、ジュエリーケースなど小物7種。アイヌの着物に使われる紺色や朱色を基調に、邪気を払うという「アイウシ」と呼ばれるとがった模様や、植物の生命力などをイメージした渦巻き状の「モレウ」をデザインした。京都の職人が、生地表面の光沢が美しい伝統技法「緞子(どんす)織」で織り、一つ一つ手縫いした。

藤戸さんは、アイヌ作家が西陣織をデザインするのは珍しいとした上で「伝承と経験によって積み上げられたアイヌ文様は簡単にまねできない。今までにない北海道土産で、観光客の反応が楽しみ」と話す。谷さんは「長い年月をかけて洗練されたアイヌのデザインと、光沢や立体感が特徴の西陣織が融合し、高級感のある商品ができた」と手応えを語る。

藤戸さんがデザインしたアイヌの伝統的な文様の名刺入れやポーチ

西陣織の出荷額は減少傾向にあり、谷さんは「伝統を守りながらも新たな創造が必要。今後も多様な文化と組んでみたい」と見据える。アイヌ文様をあしらった商品は約3千~8千円。北海道の土産物店や藤戸さん経営の民芸品店「熊の家」のオンラインショップ、新千歳空港などで販売している。

(まいどなニュース/京都新聞・辻 智也)

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