災害の備えは…防災士の自宅拝見(前) 食料品は「ローリングストック」で3週間分 おススメは湯せんできるポリ袋

能登半島地震の被災者たちをニュース映像で見た時に、電気や水道といったライフラインの復旧するまでを、どのようにすごせばいいのかと思われる方も多いのではないでしょうか。普段からできる準備について専門家に話を聞いてきました。

防災士 波多野友美さん:「そもそも避難所の収容人数は限られています。自宅で避難生活ができるように心がけています」

今回お邪魔したのは、浜松市浜名区にお住いの波多野さんのご自宅。波多野さんは防災士の資格を取得すると、企業の防災コンサルタントを務めるほか、防災アドバイザーとして避難訓練や講演会を実施。防災についてのエキスパートです。

家にあがろうと出してくれたスリッパも…

波多野さん「防かつスリッパ。かかとが立ち上がるので逃げることができる」

伊地アナ「くつとして使える。確かに底がしっかりしている」

波多野さん「ガラスとか、くぎのある場所を走って逃げることもあるので」

波多野家では、普段使いスリッパがすでに防災グッズなんです。

家具などは固定

築10年、2階建ての1軒家。波多野さんは現在夫婦2人で暮らしています。一見すると防災用品があるようには見えません。

伊地アナ「この辺なんか小物がいろいろありますが…、壁側に固定してありますね」

食器棚は飛び出し防止になるロック。自ら取り付けたそうです。棚の上の調理器具には…

伊地アナ「だいぶ重い。ミキサーか何かですか? 動かない。よく見ると粘着ジェルマット、ホームセンターの?」

波多野さん「100均にも売ってます」

伊地アナ「びっくりした、ムーミンにも粘着ジェルマットが」

波多野さん「家具ですとそちらの家具。壁に穴をあけられない方に向けた商品」

シールで固定しているので、穴をあけずに済む優れものです。

伊地アナ「こういう転倒防止のものがあるんですね」

カセットコンロが130本

こちらの棚…、目隠しされていたのは…

見つけたのは、カセットコンロで使うガス。その数は、なんと…。

波多野さん「約130本。我が家の場合は1日4本使う想定で備蓄してます」

近所に住む義理のお母さんと、一人暮らしをしている娘を合わせた4人での避難を想定しているのだとか。それにしても、この本数1カ月以上はもつ計算です。

食料は「ローリングストック」で3週間分

キッチン横のパントリーには、驚くべき光景が…。

そこにはジャンル分けされた食品がずらり。実は波多野さん、整理収納のプロとしての肩書きも持っています。用途に合わせて、缶詰も分けられていました。

波多野さん「全部で(4人分)だいたい3週間分の食料。普段はそこから食べて追加するローリングストックをしている」
伊地アナ「ローリングストック?」
波多野さん「回していくということなんですけど…」

ストックする食材の賞味期限が近いものから食べていき、その分、購入して、備蓄の数を保つ方法です。

伊地アナ「ここにあるものは防災用の備蓄食料品でもあるけど、普段使いの食料としても使っているということですね」

波多野さんは、何年も保存できる防災食は買わないといいます。他にも、常温保存できる「豆腐」や「油揚げ」が。

伊地アナ「これの賞味期限は24年5月27日」
波多野さん「大体半年ぐらい」
伊地アナ「これも賞味期限が近付いたら普段の食事で使っていく。ちなみに冷蔵庫の中は何か違ったりします?」
波多野さん「普通です」

普通といっても、なかなか見かけない整理整頓が。気になるのは、「早く食べる」のシール。これも関係があるのでしょうか。

波多野さん「災害時には冷蔵庫の中身から食べるように」

非常食の温存にもつながるテクニック。賞味期限を把握することが大事なんですね。

おススメは湯せんできるポリ袋

台所には、おススメの防災グッズも。それが、湯せんできるポリ袋です。湯せんでつくる料理が災害時には便利なんだそう。なべ底に網を敷いて、直接袋が当たらないようにすれば準備OK。

波多野さん「これが白米ですね」
伊地アナ「ご飯炊けるんですか」

準備は簡単、袋にコメと水を入れ、浸水させること40分。

波多野さん「茹でるのが30分くらい。触っていただいて柔らかくなっていれば炊き上がり」

伊地アナ「私、食べましたがしっかりと炊けていて、美味しかったです」

湯せん料理は、パッククッキングと呼ばれるもので、カレーもつくれます。食器を洗う必要がなく、湯せんする水は使いまわすことで、水の節約につながるんです。

それにしても、波多野さん。防災や備蓄と同時に、家へのこだわりも感じますね。

波多野さん「どこの空間に座ってもコーヒーがおいしく飲める家を心掛けている」

伊地アナ「それでありながら、しっかりと防災用品を備蓄している。見習いたいと思います」

寝室はベッドだけ

さて、お次は、寝室のある2階へ。

伊地アナ「2階の階段の手すりに懐中電灯が。これはなんですか?」
波多野さん「停電になるとライトがつくようになってます。(コンセントに刺さっていて)常に充電している状態」

寝室には、どんな防災が?

伊地アナ「あれ? ベッドしかない」
波多野さん「災害時に、家具が転倒して逃げ遅れるとかケガをすることがないように。ベット以外は置かない。物を置かないのが一番大切」

ここにも、停電時につくライト。寝室は物を置かないことが、防災になっていたんです。

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