バラエティに富む練習場ボール 仕分けは地獄

練習場にはいろんな種類のボールがある(撮影/田辺安啓(JJ))

PGAツアー会場の練習場では多くの種類のボールが用意されている。もう何年も前から当たり前のことだが、タイトリスト、スリクソン、ブリヂストン…とブランドだけなら5社だが、タイトリストならProV1とProV1x、スリクソンならZ-STAR-XVと◆(ブラックダイヤモンド)など、合計10種類もある。

「AT&Tペブルビーチプロアマ」はセレブたちもプレーするから、アマチュア用の練習球もあるので計11種類か。契約ボールが決まっているプロには至れり尽くせりだが、ちょっと考えてほしい。これ、どうやって仕分けしてるの?

回収されたボールは(撮影/田辺安啓(JJ))

大会前、各メーカーから「練習場専用球」が搬入される。その時は種類別になっているから問題ないが、みんなが練習場で打ち出すと10種類以上がごちゃまぜになる。ある程度のボールが打たれると収集カートが出動するのは見慣れた光景だが、ここからが大変だ。

すっかり汚れちまったけど(撮影/田辺安啓(JJ))

回収したボールはまず洗浄器できれいにされ、作業小屋へ。そこからの仕分けは完全手作業。テーブルに置かれた大量のボールを2~4人のボランティアが種類別に拾って、小分けのカゴに入れていく。同メーカーの種類違いは細かな印字を確認しなけばならないから、大変根気のいる作業になる。同じ種類のボールが練習場のテーブルに並べられているのは、こんな地道な作業のおかげです。

地道な手作業で種類ごとに(撮影/田辺安啓(JJ))

さて、大会終了後のボールの行方はというと…。大会によっては、開催コースや地元のゴルフ団体(ファーストティプログラム=ゴルフを通じて健全な人間形成を目指すプログラムなど)に寄贈されるが、「AT&T―」の場合「各メーカーに引き取られます」と大会関係者。

ペブルビーチGLの練習場にはペブルビーチ・ゴルフアカデミーがあり、テーラーメイド社と提携している。そのため同社以外のものが混じることは好ましくない、という事情があるとか。練習球にもいろんな物語があります。(JJ田辺カメラマン)

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