「カバに罪ないが…」開会遅れに失笑も 衆院予算委、裏金対応で野党猛反発

国会(資料写真)

 2024年度予算案を審議する衆院予算委員会が5日、本格的に始まった。本年度内成立の目安(3月2日衆院可決)から1カ月を切るタイトな日程だ。この日も自民党が示した「議員裏金リスト」の内容不足を巡り、「小出し対応はやめよ」と野党が猛反発。開会が1時間遅れとなる異例のスタートとなった。

 立憲民主党などは詳細情報の追加公表を求めているが、その内容次第では再度の反発を招きかねない。今後の審議が円滑に進む保証はなく、能登半島地震からの復興に向けて予算案の成立が急がれる中、「裏金事件」が足かせになってしまっている格好だ。

 「NHKもやるよね」。審議開始を待つ与野党の控室などでは生中継の画面に失笑が漏れた。メーン画面はアフリカの風景映像で、右下のワイプ(画面の中の小窓)には開会を待つ予算委員会室の様子。岸田文雄首相ら閣僚席などを“甲羅干し”するカバの大群やその表情に併せ、8分以上にわたり流し続けたのだ。

 リストの小出し対応には自民内からも「総理はいまさら何をかばっているのか」と疑問が噴出している。安倍派の説明不足を批判する同党議員は風刺画さながらの映像に「偶然だろうしカバにも罪はないが、国民には『何をのんきにしているのか』と重なって見えているに違いない」と皮肉を込めた。

 「(令和)2年分、3年分、4年分を別々に書いて野党に『名寄せをして調べなさい』と言ってるようなもの。それに、この中には辞めたばかりの議員の名もない」。立民の安住淳国対委員長は審議開始に応じたものの、会見では自民が示したリストの内容に怒りをぶつけた。立民関係者は「能登半島地震を踏まえ、予算審議はきちんと進めたいとの姿勢は与野党とも一緒だ。野党を悪者にしないでほしい」と話す。 

© 株式会社神奈川新聞社