「レ・プティット・パピヨット」(大阪・京町堀)のフランス人ショコラティエが伝え続けるチョコレートの”楽しみ方”

本格的にバレンタインシーズンが到来し、コンビニもスーパーも百貨店もフェア真っ最中ですね。産地や品種を深掘りしたり、料理に使ってみたり。年々、チョコレートに関連したイベントがたくさんあり、楽しみ方が多様化しているように感じます。

今回はフランス人ショコラティエが営むショコラトリー、大阪市西区の京町堀の「レ・プティット・パピヨット」を訪ねました。大阪にチョコレート専門店がほとんどなかった12年前から、チョコレートの楽しみ方を発信してきたお店です。

フランス人シェフが生み出すチョコレートの数々

「レ・プティット・パピヨット」は、2012年にオープン。チョコレートを使った生ケーキは常時12種類。産地の異なるカカオで作ったタブレットに、ボンボンショコラ、焼き菓子、チョコレートドリンクも10種類ほどラインアップされています。夏はアイスクリームも販売され、とにかく年中チョコレート尽くし。

お店の奥はガラス張りの工房になっていて、フランス出身のシェフとスタッフの2名がお菓子作りに励む様子も楽しめます。店頭に立つのは、シェフの奥様の古谷恵さん。店舗のマネージャーとして、12年間お店を切り盛りしています。

「タブレットはカカオの産地や品種の違いをダイレクトに味わうもの。ケーキとボンボンショコラは、チョコレートとフルーツやナッツなど他の食材との組み合わせを楽しんでもらうもの。あらゆる角度からチョコレートを味わっていただきたい」

そう語る恵さんに、レ・プティット・パピヨットに来たら絶対に食べてほしい!オススメ商品を聞きました。

トロけて消える絶品チョコレートムースのケーキ

「レ・プティット・パピヨット」の定番商品「アングレーズ」。名前の通り、アングレーズソースとチョコレートの組み合わせを楽しめるケーキです。フランスではチョコレートムースにバニラソースをかけるデザートが定番だそうで、アングレーズもそのイメージで作られています。ところが日本人には当然フランスのデザートに馴染みはなく、「富士山みたいね」と言われることの方が多いのだとか。

ピストレでコーティングされている中には、トロっとしたチョコレートムースが!驚くほどに滑らかで、口に入れた瞬間チョコレートの香りだけ残してトロっと消えてなくなります。凝固剤は極力使わず、卵の性質を最大限に活かすために徹底して温度調節をして作るチョコレートムースは、まさに職人技。濃厚なチョコレートの香りはするのに、柔らかく、飲み物のように軽い口当たりです。

冬限定のボルドレは、まさかの製法でした…!

こちらは冬限定のケーキ「ボルドレ」。今流行りのカヌレ型で作ったケーキですね。と聞くと、驚きの答えが返ってきました。なんとこのケーキ、一度カヌレとして焼かれているそうです。

まずは外はカリカリ食感、中はもっちり食感のボルドーカヌレを普通に焼きます。焼き上がったカヌレをフードプロセッサーでペースト状にし、クリームと合わせてムースに。チョコレートムースのセンターとレモンクリームを閉じ込め、再びカヌレ型で冷やし固めたのが「ボルドレ」です。

「なぜそんなめんどくさいことを…?」思わずそう聞いたところ、「カヌレ独特の香ばしさを表現するには、その方法しか思いつかなかったから(笑)」と笑いながら答えてくれました。確かに、外側のムースにはカヌレの香ばしさがぎゅっと詰まっていて、焼き菓子で味わえる芳醇さも感じます。見た目が可愛いだけではなく、想像のはるか上をいく手間暇がかかったケーキです。

再保険会社からショコラティエに転職。オープンまでの道のり

「レ・プティット・パピヨット」はどのように誕生したのか?恵さんに、開業に至るまでの道のりについて伺いました。

シェフのテディ・クロシャールさんは、元々洋菓子職人ではなく、再保険会社で働くサラリーマンだったそう。恵さんはフランス留学中にテディさんと知り合い、結婚。IT企業で営業事務として働いていました。

人生を変えるきっかけとなったのが、テディさんが勤めていた会社の組織変革。ポジション的にも上り詰めていたテディさんは、この機に転職を決意されたそう。以前から興味があったブーランジェのコースに申し込むも、フランスの人気職・ブーランジェコースはすでに定員オーバー。

「空きが出るまで、ショコラティエのコースに入ったんですよね。それが思いのほか面白かったみたいです」

チョコレートにのめり込んで、ショコラティエとして基礎を学びながら自宅をアトリエに改装し、自ブランドのチョコレートをオンラインで販売していたそうです。スクールを修了し、本格的にショコラトリーを構えようとするも、フランス・パリはすでに競合だらけです。

「それなら私の生まれ故郷、大阪でお店を作るのはどうかと、夫から言ってくれました」

来日して12年。今となってはショコラトリーやチョコレートショップは珍しくなくなりましたが、オープン当初は「チョコレートしかないの?」とがっかりされることも多かったそうです。

それでもコツコツと、シェフの考える「美味しい」を突き詰め、自分たちの世界観を築き上げてきました。朝から晩まで黙々と、愚痴も弱音も吐くことなく、工房でひたすらチョコレート作りに没頭しているそうです。

「以前勤めていた会社は大きな組織で、テディは会社の一部分に過ぎませんでした。でも今は、自分の手で作ったもので喜んでもらえている。多くは語りませんが、仕事に対する手応えは感じているように思います」

最後に、お客様に伝えたいことを聞きました。

「チョコレートは、色んな楽しみ方ができるものです。産地の違い、品種の違い、食材との組み合わせ、焼き菓子にしたりケーキにしたり。それからコーヒーや紅茶とも合いますし、ワインやブランデーとの相性も良く、楽しみ方は千差万別です。お客様のお気に入りの組み合わせを見つけてもらいたいです」

About Shop
Les Petites Papillotes(レ・プティット・パピヨット)
大阪市西区京町堀1-12-24 オ・ミルズ京町堀1F
営業時間:平日11:00〜20:00(イートインスペースは19:00まで、18:30L.O)、土日祝11:00〜19:00
定休日:月曜日・火曜日(お盆・正月休みは別途)

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