JSR、JICによるTOBに影響なし 米研究財団の提訴で

Miho Uranaka

[東京 5日 ロイター] - JSRは5日の決算会見で、ニューヨーク州立大学研究財団(SUNY)によるJSRと米子会社への提訴を巡り、産業革新投資機構(JIC)が予定しているJSR株式の公開買い付けへの影響はないとの認識を示した。

JSRは、訴訟については根拠のない主張、提訴と考えており、現時点で業績への影響は軽微とした上で、JICとの戦略的パートナーシップも含めた戦略推推に影響はない、とした。エリック・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は、JICから「TOBに関する懸念は全く表明されていない」といい、「引き続きコミットしてくれている」と述べた。

米国子会社のインプリアは、先端チップ製造のための極端紫外線(EUV)リソグラフィーに使用される金属酸化物レジストに取り組む。SUNYは、インプリアが取得済みの特許25件について、共同発明者としてSUNYが記載されるべきと主張している。

開始時期が当初予定から遅延しているTOBについてジョンソン社長は、引き続き中国の当局とやり取りを進めるとし、「否定的な兆候というものはない」とも述べた。

この日発表した2023年4―12月期の連結営業利益(国際会計基準)は、前年同期比60%減の128億円だった。10―12月期に限っては、7―9月期対比で4.5倍に拡大。通期計画に対する進捗率は8割で会社想定より高かったものの、24年1―3月期に出荷の谷があるなどとして通期予想は据え置いた。

半導体材料とライフサイエンス事業の販売増が要因。苦戦が続いた半導体材料について、ジョンソン社長は「市場に明るい兆しがみられるようになった」とし、特に先端ロジックやDRAMの分野で回復の兆しがみられる、と説明した。

(浦中美穂)

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