横浜市、子宮頸がん検診でHPV検査導入へ 30~60歳の市民、5年に1度推奨

横浜市役所(資料写真)

 横浜市は2024年度中に、子宮頸(けい)がん検診の方法を変更する。発症の主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の検査を新たに導入し、陽性の場合は追跡検査で異変の早期発見を目指す。陰性であれば検診の間隔を従来より長く設定し、負担感を和らげる。罹患(りかん)のリスクが比較的高い人に対し、長期間にわたって経過を観察していく態勢の構築を急ぐ。

 自治体による子宮頸がん検診の方法は、厚生労働省の指針に基づいている。市は現在、20歳以上の市民に2年に1度、子宮頸部の細胞に異常がないかを調べる「細胞診」を推奨しているが、近く指針が改定される見通しとなり、HPV検査の導入準備を開始した。

 これまでの研究により、子宮頸がんの原因は主にHPVの感染であることが分かっている。HPVには性交渉経験者の大半が1度は感染しているが、1、2年で自然に消えるケースが多い。だが、一部の人は持続感染し、細胞が段階を経てがん化することがある。

 そこで新たな検診では、30~60歳の市民に5年に1度のHPV検査を推奨。陽性であれば、同じ検体を活用してすぐに細胞診を受けてもらう。細胞診の結果が陰性の場合は、1年後に再びHPV検査を働きかけるサイクルを繰り返し、異変の早期発見につなげる。

 一方、HPV検査が陰性であれば、その後5年間は検診を受けずに済む。多忙を理由に検診を受けない人が目立つため、負担感を軽減して受診を促す狙いもある。HPVの陽性率が高いなどとして、20代と61歳以上には現行通り2年に1度の細胞診を推奨していく。

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