宿泊予約6割キャンセル 1~3月県内の主要施設

  ●1月中旬以降、金沢以南で需要回復

 能登半島地震の影響で、県内6温泉地と金沢市内の主要ホテルに入っていた1~3月の宿泊予約のうち、一時は6割がキャンセルとなったことが5日までの県の集計で分かった。加賀4温泉や金沢のホテルでは予約数が半減した。一方、1月中旬以降は金沢以南の施設にインフラ復旧の関係者や2次避難者の利用が入り、予約数は地震前の2割増しで推移。一部では「復旧特需」との声も聞かれる。

 県は山中、山代、片山津、粟津の加賀4温泉と金沢・湯涌、七尾・和倉の各温泉と、金沢の主要ホテルの1月1日~3月末の予約状況を、1月31日時点で集計した。輪島温泉は状況を確認できなかった。

 地震発生直前の1月1日時点では、県全体で3月末までに延べ47万8470人分の宿泊予約があった。地震発生を受けて、このうち62.6%に当たる29万9407人分がキャンセルされた。

 地域別では、加賀4温泉は15万2502人分のうち7万9259人分(52.0%)、金沢のホテルは23万8162人分のうち13万4475人分(56.5%)の予約が取り消された。

 一方、被災者が被災地外の宿泊施設などに身を寄せる2次避難が進んだことに加え、インフラなどの復旧工事に当たる業者、自治体に派遣される全国の応援職員が続々と県入りしたことで、宿泊需要は回復している。

 地震後、新たに入った宿泊予約は県全体で2次避難者の15万7千人分を含む40万3615人分に上り、キャンセル分を差し引いても地震前を21.8%上回った。2次避難者を受け入れている金沢市のホテルは地震前の予約から49.7%増、加賀4温泉も38.2%増と、人数面を見ればキャンセル分を補って余りある利用が見込まれる。

 ただ、地震被害が大きかった能登エリアは観光客の受け入れが難しい状況が続いている。延べ8万314人の予約全てがキャンセルとなった和倉温泉は建物被害が甚大な旅館が目立つ上、一帯は現在も断水が続いている。2次避難所としての活用もできておらず、新たな予約数は一部の旅館が復旧業者らを受け入れる8350人分にとどまった。

 県の喫緊の課題は、南加賀の宿泊施設に2次避難している被災者の次の住まい確保だ。

 3月16日の北陸新幹線県内全線開業以降、南加賀のホテルや旅館には一般観光客の宿泊予約が相当数入っているためで、県は順次説明会を開いて2次避難者の意向を確認し、月内にも仮設住宅やみなし仮設住宅、3次避難所などの選択肢を示す方針だ。

  ●2次避難受け入れ、加賀が最多 

 県がまとめた2次避難の受け入れ状況(5日時点)によると、県内では217施設で4761人が過ごしている。市町別では加賀が35施設1839人と最多で、金沢131施設1803人、小松22施設759人と続いた。県外では、富山県が18施設282人、福井県が12施設152人となった。

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