「孤独が一番きつかった」長欠から復活を遂げた斉藤光毅がスケールアップ! 三戸とのU-23日本代表コンビはスパルタの新たな武器となるか【現地発】

昨年9月に負傷した斉藤光毅は1月27日のRKC戦で実戦に復帰して25分間プレー。2月4日のズウォーレ戦(0-2)では先発して、右の三戸舜介とともにスパルタの両翼を担い、61分間に渡って好プレーを披露した。

「前回はマックス30分間、今回はマックス60分間プレーして、どんどん上げていく感じなんで、順調に来ています。あとは結果を残したい」

22分、三戸が一瞬、シュートを撃つと見せかけて敵の視線を集めると、ノールックで斉藤にスルーパスを通した。しかし、斉藤のシュートはDFに当たってしまいゴールならず。60分にまたしても三戸からのパスを受けてシュートを放った斉藤だったが、ゴールの枠を捉え切れなかった。

「どっちも惜しかった。俺のせいです。彼のアシストを削りました」

斉藤から三戸へ大きなサイドチェンジ。相手の不意を突く、三戸から斉藤へのヒールキック。U-23日本代表のチームメイトでもある二人は再三、前線で息の合うコンビネーションを見せた。

「舜ちゃん(三戸)も、『ボールを持って顔を上げたときにいてくれると助かる』と言っているし、自分も舜ちゃんがボール持つと動き出しやすい」

斉藤と三戸のコンビはスパルタの新たな武器になりそうだ。

9月24日のフィテッセ戦、中盤でドリブルする斉藤の後ろから相手SBがシャツを掴んで倒し、覆いかぶさった。斉藤を痛めつけようとするものではなかったものの、斉藤はハムストリングに手術を要するほどの負傷を負う。悪意がなかったとは言え、そのSBからすると不必要なファウルだった。

「それは間違いないですけど、自分も早くボールを捌けばよかった。相手も怪我させようとしたわけじゃない。相手を責めても結果は変わらないし、自分にとって良いことでもない。まず、自分の身体が弱かったということ。次にシンプルにプレーすべきところはシンプルにしないと、ゴール前で力を発揮できないということ。そこを反省しました。どこが弱いのか、どういうプレーを選択すべきなのか、いろいろ分析して次につなげないと、怪我をした意味がなくなってしまう」

ロンドンで夕方から深夜にかけて手術を受けると、入院することなく翌朝、タクシーに乗って4時間かけてマンチェスターへ。

「手術前は(付き添いが)いましたけど、手術後は誰もいなくて、自分一人で帰るみたいな感じで、(マンチェスター・)シティの施設にボンって放り込まれた。シティの人がメニューを組んで全部一人でやった。リハビリは地獄でした。でも『復帰してからも怪我をしない』という気持ちをモチベーションにしてやり続けましたけど、相当キツかった。これから結果を残さないとそのキツさが意味なくなっちゃうので、頑張ります」
痛み、リハビリ、孤独――。一番キツかったのは?

「孤独が一番キツかったですね。何も知らない土地、誰も知らないところに放り込まれて、松葉杖の生活も自分でしなきゃいけない、『できるだけ自分で歩かないで』みたいに言われているんですけど、松葉杖じゃ生活できないじゃないですか。だから、そこでイライラしたりとかしました。でも、強くなれました。この怪我に意味を持たせたいです」

ズウォーレ戦の57分、斉藤は自陣から単独ドリブルを仕掛け、コーナーキックを得た。この時間帯でロングドリブルを敢行できたことに、順調な仕上がりを感じさせる。

「そうですね。怖さはまだちょっとだけある。これから怪我に対しての自信、怪我に対しての自信がどんどん付いてくると思うので、やり続けるだけです」

今年の目標は?

「昨シーズンの7ゴール・5アシストという結果をまず超えて、8ゴール・6アシスト(今シーズンのスタッツは2ゴール・1アシスト)。難しいですけれど、そこは叶えたい。結果を残し続ければ日本代表の目にも止まると思います。パリオリンピックは優勝したいので、まずはアジア予選。(アジアカップで)A代表も難しい試合ばっかりでした。みんな『日本が勝って当たり前』と思っていると思うんです。そこを全部取っ払ってチャレンジャーの気持ちでやりたいです」

取材・文●中田 徹

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