中国、自動運転車の覇権めぐり西側諸国に挑戦―英メディア

中国メディアの環球時報は2日、「中国が自動運転車の覇権めぐり西側諸国に挑戦」とする英フィナンシャル・タイムズの記事を取り上げた。写真は自動運転車。

中国メディアの環球時報は2日、「中国が自動運転車の覇権めぐり西側諸国に挑戦」とする英フィナンシャル・タイムズの記事を取り上げた。

記事はまず、「新型コロナウイルス感染症のパンデミックの震源地として知られる中国湖北省武漢市は現在、別の理由で世界的に知られる段階にあるのかもしれない」とし、「それは世界最多の自動運転車の保有台数を誇ることだ」と伝えた。

記事によると、武漢は、中国の自動運転を支える新興技術、重要なインフラ、規制環境の重要な試験センターとして浮上している。アナリストらによると、中国の企業と規制当局による進歩は、西側諸国にとって新たな挑戦となっている。西側諸国はすでに電気自動車(EV)の開発で中国に後れを取るだけでなく、今や自動運転車の取り組みにおいても中国の台頭を目にすることになっている。

記事は「測定するのは非常に難しいが、(自動運転設備の)展開の準備状況と技術の利用可能性を見ると、(中国が西側に後れを取る時間は)おそらく1~2年を上回ることはないだろう。その差を縮めようとする勢いはかなり強い」とする、上海にある米経営コンサルタント会社ベインの自動車技術専門家レイモンド・ツァン氏のコメントを紹介した。ベインのデータによると、昨年9月時点で中国の自動運転車は累計7000万キロを走行しており、これは米国と同等だという。武漢では中国インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)が手掛ける自動運転ロボタクシー約500台が稼働し、昨年は73万回を超える配車乗車を記録した。

記事によると、自動運転車の安全性は、昨年10月初旬に米サンフランシスコで発生した米ゼネラルモーターズ(GM)傘下のクルーズの自動運転ロボタクシーによる歩行者引きずり事故以来、注目の的となっている。中国では、武漢のロボタクシープロジェクトにより、安全性への懸念から保守主義が根強く残っていることが明らかになった。フィナンシャル・タイムズが昨年6月、バイドゥの自動運転センターを訪問したところ、各ロボタクシーはアーケードのような運転ステーションに座った人間によって遠隔監視されていることが分かった。清華大学人工知能(AI)産業研究院のジャン・ヤーチン院長は、中国政府は車両が安全であると確信するまで「非常に非常に慎重」であり続けるだろうとし、「これは人命に関わることだ。これを大規模に展開するには、人間のドライバーよりも10倍安全でなければならない」と語った。

記事によると、武漢以外でも、バイドゥ、小馬智行(ポニー・エーアイ)、安途(AutoX)などの企業が、中国の各都市に一連のテストゾーンを設置している。中国のEVメーカーの多くが、自動運転の先駆けとなる先進運転支援システムを開発するチームを社内に抱えている。コンサルティング会社、中国汽車洞察(Sino Auto Insights)の創設者トゥー・ラー氏によると、機械学習やセンサーなど自動運転の主要分野を支えるいくつかの技術において、米国は依然として中国をリードしている。ベインのツァン氏によると、商業試験の規模は、中国が、主要技術が大規模に商業的に実現可能となる2027年ごろの「転換点」に向かって進んでいることを意味している。ベインは、賠償責任と保険に関する法的枠組みの完成と、それに伴う道路および通信インフラの改善にも同様の期間がかかると予想している。路側カメラや信号機などの都市部インフラネットワークや、広範囲にわたる5Gカバレッジやデジタルマッピングを活用する企業の能力は、すでに中国における業界の信頼を支えている。(翻訳・編集/柳川)

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