「障害者の居場所守りたい」 職員奔走、七尾の支援施設

昼食のカレーを食べる「ゆうの丘」の利用者ら=1月、石川県七尾市

 石川県七尾市の障害福祉サービス事業所「ゆうの丘」は能登半島地震の発生から9日後、利用者の受け入れを再開した。避難所での共同生活が困難な障害者の居場所を守りたいとの思いから奔走するものの、被災した職員らのケアも課題だ。

 1月下旬、部品の組み立て作業を終えた利用者がカレーを頬張った。レトルトに野菜を足した手作り風。「おいしい」との声が何度も上がった。

 10~70代の約30人が通う。地震直後、余震を恐れる利用者は「怖くて外に出られない」と訴え、家族からは「目が離せない。いつ開所するのか」と切実な声が寄せられた。

 理事長の本田雄志さんは再開を急いだ。職員15人で施設の片付けや建物の安全確認、食材など必要な物資の確保に駆け回った。

 利用者の生活状況を電話で聞き、送迎ルートの状態も確認。1月10日から半日の開所を始めた。断水が続いているため、富山県内の温泉への送迎も実施している。

 ただ、職員も被災している。本田さんは、再開時に「頑張り過ぎないで」と呼びかけ、負担を減らすために半日だけの開所にした。

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